2025.12.28

CARS

ヤフオク7万円シトロエン維持のため東欧リトアニアへ! シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#68

あれ? エンブレムもないし、ホイールも違うし、バンパーに傷もついているし、少し見ない間に雰囲気が変わった? ……というわけではなく、これは旅先で出会った欧州では希少なリポート車と同色同仕様の部品取り車だ。

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またしてもひとり機上のひとに


まず1カ所目の訪問先は、エグザンティアやXM、BXといった近代ハイドローリック・シトロエン維持の要になる、サスペンションのアッパーマウントを修復してくれる工房だ。スティールとゴムによって構成されている、このドームと呼ばれることの多い部品は、劣化するとゴム部分が破れてサスペンション・シリンダーがボンネットを突き上げるという大ダメージを負わせる。

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そうなればもちろん足まわりがもげた状態となり、瞬時に走行不能だ。兄貴分のシトロエンXMではリコール扱いになっていたのだが、エグザンティアはなぜか対象とならなかった。BXでも同様の事例は多く、最近はC6でも起こっているらしい。これが原因でハイドロを卒業したひとも少なくないはず。

リトアニアの西にある都市カウナスで、シトロエンのアッパーマウントの修復を営む工房、エラストマーEUのオフィシャルHP。昔はとても素っ気ないものだったのだが、とても見やすい現代的なものに変わっている。

XMやBX用のドームは、あちこちで再生産を行っているようだが、エグザンティア用サスペンションのアッパーマウントをリビルドし販売しているのは、当時僕の知る限りでは世界中でただ1カ所。東欧リトアニアのカウナスという町にある、エラストマーEU(Elastomer.EU)という工房だけだった。ここと事前にやりとりをし、訪問とインタビューの約束を取り付けておいたのは、以前にご報告した通りだ。

続いて2カ所目は、前回の旅でとてもお世話になったポーランドにおけるフランス車のポータル・サイト、francuskie.plが主催する、“シトロエンXMの生誕35周年イベント”だ。エグザンティアの30周年イベントに続いてワルシャワで行われるこの催しのスペシャル・ゲストは、なんとエグザンティアやXMのデザインに深く関わったデザイナーそのひとなのである!



イベント内では彼が登壇するトーク・ショーもあるというから、聞き逃すわけにはいかない。なんとしてでも直接話をして、当時のことも聞いてみたい。



そして3カ所目が、出発の直前にFacebookでたまたま見つけた、ポーランド・ワルシャワ南の町オポーレで、自動車部品を販売している業者からのパーツの買い付けである。彼の在庫していた何台かの解体車の中には、リポート車とまったく同じ内外装色の初期型エグザンティアがあり、ずっとずっと僕が探し求め続けてきた、青い格子柄のシートの座面生地やドアの内張が、色褪せてはいるものの、残っていたのだ!

ただしあまりこの業者、商売っ気はないようで、結局やりとりがまともに始まったのは、僕が東京を離れ、リトアニアへ入国してからだった。

実質4日間で3カ国を回る


この3つの目的地に向かうべく確保できた時間は5日間だけ。時差を考えると自由に動けるのは実質4日間である。いやはや、極力コストと無駄なスケジュールがないように自分で計画したとはいえ、なかなかに旅程はハードなものになった。



まず、初日がもう、めちゃくちゃ辛い。まず中国・北京でトランジットが5時間半ある上に、さらにポーランド・ワルシャワを経由しなければリトアニアの首都ヴィルニュスにはたどり着けない。しかも朝に入国してから、バスと列車を乗り継がないと、エラストマーEUのあるカウナスには行けない。

カウナスのエラストマーEUを訪ねた後も、翌朝9時にはポーランド・ワルシャワへ戻る飛行機にまた乗らなければならないから、どうしてもこの日のうちにヴィルニュス市街までは戻りたい。

つまり成田を発ってリトアニアに到着し、そこからさらに丸一日、ずっと取材と移動しっぱなしなのである。



でも、自分の好きなことであれば何かと前向きになるし、どこからともなく力が湧いてくるもの。すっかり呆れながらも留守の間をフォローしてくれ、また異邦人の僕を受け入れてくれた、家族と周囲のひとびとの有形無形のサポートにあらためて感謝したい。

さて、次回はいよいよ中国、ポーランドを経て初の訪問国となるリトアニアに到着するまで、問題のエグザンティアのサスペンション・アッパーマウントを日本から運ぶため、色々策を講じたことをお届けする。

■CITROEN XANTIA V-SX
シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2024年5月時点までの支払い総額は309万6773円)
導入時期 2021年6月
走行距離 18万6761km(購入時15万8970km)

文と写真=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=岡村智明

(ENGINE WEBオリジナル)

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エンジン編集部員がヤフオクで買ったシトロエン・エグザンティアの長期リポート!

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