とにかく賑やかで派手やかな東京オートサロン2026において、モデリスタ・ブースと並んでとてもセンスがよく明るい雰囲気の中でクルマを並べていたのが、シトロエン&プジョー&DSオートモビルという3つのフランチ・ブランドを一堂に集結させた、ステランティス・ジャパンのブースだ。
事前の予想は大ハズレ!?
プレス向けの発表前に会場に足を運び、ヴェールを被っている3台のクルマをひと目見て分かった。編集部が事前に予想していた、シトロエンは7座仕様の「C3エアクロス」、プジョーは「308」のフェイスリフト、DSオートモビルもまたフェイスリフトしたばかりの「N°4(ナンバー・フォー)」が初来日するのでは……という予想の正解率は1/3。いわば大ハズレのようだ。DSだけはほぼ想定通り車高の低めのクロスオーバーのようだが、シトロエンとプジョーは、明らかにそれらより背が高くサイズが大きいのである。

ステランティス・ジャパンの成田 仁代表取締に続いて登壇したフレンチ・ブランドの事業部長、 小川隼平さんの合図でアンヴェールされたのは、やはりシトロエンが「C5エアクロス」、プジョーが「5008」、DSオートモビルだけが予想通りで「N°4」だった。
確かに欧州での発表の順番を考えれば、この「C5エアクロス」と「5008」がやって来るのは順当ではあるのだが、いずれもフルモデルチェンジした、今後の主力となるべきモデルだ。フェイスリフトのモデルはさほど時間をかけず輸入されることは多いが、フルモデルチェンジとなると色々時間もかかる。特にまだ「C5エアクロス」は欧州デビューから間がない。それを持ってきて、しかも東京オートサロンというカスタマーにとても近しい催しで披露するとは……。
これまでもフィアットやジープ、シトロエンなどで大々的にブランドの名を冠したカスタマー・イベントを行い、2025年はWECやフォーミュラEでも新着の車両を展示するなど、ユーザー・エクスペリエンスを大切にしてきたステランティス・ジャパンらしい方針である。シトロエンとプジョーというある程度根づいているブランドをフレンチというくくりで強化し、さらにDSオートモビルについては、車名の変更(単なる数字ではなく“N°(ナンバー)”が付くようになった)とフェイスリフトでイメージを一新したのに併せ、ブランドの認知度をさらに一段引き上げようという狙いがあるのだろう。



今回の展示車も「5008」に関しては商品として販売されるクルマなのだが、「C5エアクロス」は仏本国のPR用の車両(これのみ左ハンドル仕様)を特別に船便で輸入。「 N°4」に至ってはまだプリプロダクション・モデルなのだという。このスピード感だけでもステランティスの日本市場に対する真剣度や、東京オートサロンというイベントにかける意気込みの強さがよく分かるというものだ。
小川さんによるプレゼンテーションや関係者との会話からまず明らかになったのは、シトロエンの「C5エアクロス」、プジョーの「5008」、そしてDSオートビルの「N°4」が、いずれも1.2リットルの直列3気筒ターボ・エンジン+モーターのマイルド・ハイブリッドを搭載したモデルがやって来るということ。すでに「フィアット600」や「アルファ・ロメオ・ジュニア」、「プジョー3008」にも搭載され、優れた燃費性能とドライバビリティを両立させたユニットだ。

ブランドごとに見ていこう。まずはシトロエン。「C5エアクロス」は同社の新世代のデザイン・テーマを盛り込んだ、完全な新型のモデルだ。コンセプトの「OLI(オリ)」ではじまった長方形型のLEDライトをデザイン・アイコンとして各部に配し、全体をシャープな仕上がりとしたこのスタイルは、先行したフェイスリフト版の「C4」でも取り入れられていたが、それがバチっとハマった感がある。いぜんの顔中央のダブルシェブロンの両端を左右ライトまでモールで繋いだり、エアバンプを用いていた時代のやや女性的なイメージに比べると、中性かつ男性的で、ガジェット感もあってカッコイイ。プラットフォームはステランティスの大型車用でプジョー「5008」とは兄弟車にあたるが、こちらは2列5名乗車となる。

シトロエンの十八番である穏やかで優しい乗り心地を実現すべく、アドバンスド・コンフォート・シートと独自の機械式ツインチューブ・ダンパー・システムであるPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・コントロール)はもちろん採用している。小川さんによれば「シトロエンのフラッグシップです」ということなので、おそらくモデル・ライフはそろそろ終盤だが次世代モデルの噂があまり聞こえてこない「C5 X」が次第にフェイドアウトし、この「C5エアクロス」へと入れ替わっていくのではないだろうか。

つづいてプジョー。「5008」は先行して上陸している「3008」とフロントまわりなど多くの部分を共有したモデルだが、ホイールベースとリアのオーバーハングを延長し、2+3+2の3列7名分のシートを備えているのが最大の特徴だ。

エッジの効いたセンター・コンソールなど「3008」と同様の未来感のあるインテリアを採用。日本におけるプジョーの成長率は前年比で販売台数が+29.2パーセントと大きなのびを見せているそうだが、この旗艦モデルとなる「5008」の上陸でフルラインナップが完成。さらなる上昇が見込まれる。

最後にDSオートモビル。シトロエンから派生したプレミアム・ブランドであり、今回やって来たのは中核を担うCセグメント車「DS4」のフェイスリフト・バージョン、「N°4」である。ラグジュアリーでありながら、独自性が高く、何者にも似ていない内外装の彫刻的なスタイリングは、強烈なインパクトがある。

特にフロント・マスクの光る“DS”ロゴと水平方向、垂直方向に配したLEDのバランス感はほんとうに絶妙だ。フェイスリフトはなかなか改良前のイメージを超えることが難しいが、この「N°4」をはじめDSオートモビルのニュー・モデルは、みごとに成功した希有な例だと思う。
導入のスケジュールについてはこの3台は間もなく正式に発表となり、「5008」がこの2026年春に、さらに少し遅れて「C5エアクロス」と「N°4」もオフィシャルに案内があるという。価格など詳細に関してはその時に、ということで残念ながらいずれのモデルもプライスは判明はしなかった。為替も厳しく、車両の内容を鑑みるとある程度の値上がりも想定されるので、注目したいところである。
それ以外のモデルではプジョーは「3008」に“ブラック・エディション”という限定車と、電気自動車バージョンである「e-3008」が準備中とか。DSオートモビルはすでに予約を受け付けている「N°8」が春以降にデリバリーが開始されるという。

ちなみに我々が予想で外してしまった2台についても、現場で状況を聞いてみた。


フェイスリフトした「プジョー308」はそう遠くないうちに、そして7座仕様の「シトロエンC3エアクロス」はまだ時期は決まっていないが、上陸の予定だそうだ。
ステランティス・ジャパンのフレンチ連合による攻勢は、オートサロン以降もまったく収まる様子はないようだ。大いに期待したいと思う。
文=上田純一郎(本誌) 写真=神村 聖
(ENGINE Webオリジナル)