新しい技術は心の琴線に触れてこそブレイクする。スマホもSNSがあったことでカメラの性能が飛躍的に進化し、瞬く間に世界中に広がった。そして最近注目を集めているのが3Dフィギュア。“お気に入りの自分”を手軽に平面から立体へ――製造業のプロが仕掛ける技術と遊び心いっぱいのサービスとは?
1~3秒の撮影で自分そっくりの人形が!
以前取材したデジタルクリエーターから「まったく新しい技術、商品が受け入れられるかどうかにはふたつのハードルがある。ひとつは生理的、もうひとつは価格だ」と聞いた。たとえばソニーのaibo。1999年代に発売されて大ヒットしたが、ビーグルのような垂れた耳と短めの手足という姿は愛らしく、それまでSFの世界だったロボット犬を一挙に愛玩動物の位置付けにした。その後部品が生産されなくなると、廃棄ではなく「葬儀」という形式をとって処分されたことも象徴的だろう。
一方でまだまだ微妙なのがAI。日々技術の進歩が著しいが、数年前のNHK紅白歌合戦で「AI美空ひばり」が現役のように歌っている姿が放送された際、拒否反応の声は少なくなかった。冒涜されたと感じる声もあったと記憶している。こればかりはもっと技術が進み、精度を上げたところで「なんか違う」という生理的違和感を一定数は派生させるに違いない。
▲仕上がりは驚くほどリアルだが、10cm 2万2000円からと値段は意外にお手頃。最近話題になりつつある3Dフィギュアは、まず生理面でのハードルを越えてしまった好例。特にスマホのセルフィーのように、自分そっくりの人形がつくれるサービスが熱い視線を浴びている。meta mete(メタ マテ)も人気を集めるショップのひとつ。お店では360度にレイアウトされた15本のポールに約100台のカメラが設置され、モデルはセンターで好きなポーズを撮る。かつては
黎明期の写真のように10分くらい不動の姿勢を取る必要があったが、今なら1~3秒でOK。小さな子供も問題ない。
▲カメラがついたポールが360度囲むような円形スペースで撮影する。
▲所用時間は数秒。赤ちゃんの撮影も安心できる。次に撮影された200枚ほどの画像データを元に3Dプリンターでフィギュアがつくられる。素材は樹脂。もちろんフルカラーで出来上がりはかなりリアルだ。写真館で記念写真を撮る感覚で、今しかない瞬間を形にする。思わず誰かに見せたくなるリアルな仕上がりは確かにエモい。
▲成人式や七五三など、写真館で記念の撮影をする感覚、価格で楽しめる。家族で撮る場合、仕上がりサイズが小さくなる子どもには割引料金も。meta mateの特長は、データ用撮影からフィギュア製造まで一貫して自社制作していることにある。もともとmeta mateを運営しているキャステム(広島県福山市)は精密鋳造品の製作・加工を行う会社。1968年に町工場からスタートした当時の熱意と矜持に加え、遊び心も忘れていない。たとえばマンガ『キン肉マン』が好きな社員が登場キャラクターのひとり、ロビンマスクの実寸大マスクをつくり、作者のゆでたまご氏に見せたところ、出来の良さに感心した氏がすぐに商品化を許可したほど。
▲店内で販売されている『キン肉マン』のロビンマスク。精緻な仕上がりが技術力を証明する。さらにそのノリを生かしたのが、根強い人気を誇る伝説的な昭和ロボットアニメ『マジンガーZ』とのコラボだ。「あなたもマジンガーZの操縦者フィギュア」と銘打ち、原作では兜甲児が操縦してマジンガーZと合体するホバーパイルダーに自分のフィギュアを乗せられる。子どもの頃の夢が形になった喜びを味わえるのもオツ。
▲再現したマジンガーZの頭部に原作者の永井豪氏が乗っているサンプル。ここに注文した人のフィギュアが搭載される。6cm 3万3000円、8cm5万5000円、10cm 7万7000円 、15cm 19万8000 円 ※完成まで1カ月半~2カ月最後に冒頭に挙げた価格面について書いておこう。meta mateでは仕上がりサイズ10cmで 2万2000円から。5cm刻みでオーダー可能で、最大30cmで 16万5000円ほどになる。また小さな子供がいるファミリーでつくる場合、子どものフィギュアが相対的に小さくなるため、小学生以下は半額、3歳以下は無料に。七五三の記念撮影料を考えれば、充分に手が届くプライス設定と言えそうだ。
3Dフィギュア、これからもっとバズる気がする。
■meta mate 誠品生活日本橋店
東京都中央区日本橋室町3-2-1号コレド室町テラス 2階
Tel.03-6910-3530 営業時間 11時~20時(土日祝10時~) https://www.metamate.co.jp/3dscan
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