2026.02.03

CARS

「ホンダN-VAN e:」とガチンコ勝負!? ダイハツ&トヨタからデンキの軽乗用&商用バン「e-アトレー」「e-ハイゼット・カーゴ」&「ピクシス・バン」が登場!【314万6000円〜】スズキはどうなった?

ダイハツとトヨタからデンキの軽バン登場!

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ダイハツとトヨタはかねてよりスズキとも共同で開発を行っていた軽自動車規格の電気自動車「e-アトレー」、「e-ハイゼット・カーゴ」、「ピクシス・バン」を2026年2月2日に発表した。ただし、現時点でスズキ版は公開されていない。

先行するホンダN-VAN e:を戦略的に追い落とす!?


その存在が公開されてからかなり時間がかかったものの、ようやくダイハツ&トヨタ&スズキ連合による軽の乗用&商用ワンボックス・バンの電気自動車が日本市場に投入された。



商用仕様のない日産サクラや、海外や小規模メーカーを除けば、この手の車両としては三菱の「ミニキャブ・ミーブ」(現「ミニキャブEV」)、そしてホンダの「N-VAN e:」に続くモデルということになる。



車両の成り立ちとしては、トヨタやスズキの知見を活かしつつダイハツが主導になって開発行っている。「アトレー」および「ハイゼット・カーゴ」をベースに床下にバッテリーを、また後輪駆動軸上にモーター、インバーター、減速機を一体化したeアクセルを配置し、後輪を駆動する。



生産はダイハツ九州の大分・中津工場が行い、既存の内燃エンジン搭載モデルに対し、かなりの車重増(「ハイゼット・カーゴ」“スペシャル”の2WD・5段MTの880kgに対して「e-ハイゼット・カーゴ」の2座仕様はなんと+340kgの1240kg!)に対応すべく車体剛性の向上、リア・サスペンションを新規設計とするなどの変更はあるものの、ライン上混流での生産も可能(特装車用作業エリアを活用)とアナウンスされた。



バッテリー搭載による荷室部、乗員部分の変更はほぼないようで、荷室寸法(荷室床長1965mm(2名乗車時)、荷室幅1410mm(4名乗車時)、荷室高(4座1250mm、2座1245mm))および350kgという最大積載量については、内燃エンジン版とまったく差がない。





既存ユーザーにとっては、電気自動車へ乗り換えても車内空間におけるデメリットはない、といえるだろう。

注目すべきはその床下に搭載されるバッテリーの詳細とその容量、および一充電での航続可能距離と価格だ。



まずバッテリーそのものについて。サプライヤーについては公開されなかったが、これまで日産やホンダが採用してきた三元系のリチウムイオン・バッテリーではなく、リン酸鉄リチウムイオン・バッテリーであることが公開された。三元系に比べリン酸鉄はコストが安く安全性も高く長寿命といいことずくめだが、エネルギー密度や低温時の耐久性などのデメリットも持つ。そうした面も踏まえてのことだろう。搭載容量は「e-アトレー」、「e-ハイゼット・カーゴ」、「ピクシス・バン」すべて共通で36.6kWh。WLTCモードでは257kmの走行が可能である。



なお50kW以上の急速充電器を使用すれば、電欠ランプで点灯から80%まで回復するのに要する時間は約50分。6kW出力の200V普通充電器なら6時間で満充電となるという。

これは「三菱ミニキャブEV」(電池容量/航続距離は20kWh/180km)に対してはもちろんのこと「ホンダN-VAN e:」(29.6kWh/245km)に対しても大きなアドバンテージだ。



価格については「e-アトレー」と「ピクシス・バン」は4座仕様のみ。「e-ハイゼット・カーゴ」は4座と2座を選択できる。ただし「ピクシス・バン」「e-ハイゼット・カーゴ」の価格は4座も2座も共通で314万6000円。乗用仕様の「e-アトレー」だけは“RS”のモノグレード展開で、346万5000円となる。

現時点でクリーンエネルギー導入促進補助金および地方自治体、事業用車両向けの補助金額は決定していないが、東京都の場合でおおよそ最大100万円強ではないか、と予想される。つまり実質の支払い額は200万円強〜250万円弱、という見込みだ。

単純に車両価格で比べれば、いちばんのライバルとなる「ホンダN-VAN e:」のもっとも安価なグレードであり、こちらは前輪駆動となる“e:L4”グレード(269万9400円)に比べ45万円近く割高ではある。









ただし後追いとなるダイハツ&トヨタ陣営は「N-VAN e:L4」ではオプション設定となる急速充電ポートや200Vの充電ケーブル、100V電源コンセント(ただし車体への充電中は使用不可)、外部への給電アタッチメント、助手席シート・ヒーター、LEDヘッドライトなどを標準装備する。電池容量も鑑みると、実質の価格差はかなり少ないといっていい。

とはいえ「N-VAN e:」では一部グレードでは標準装備となるアダプティブ・クルーズ・コントロールや、全車装備のサイドカーテン・エアバッグなどは設定そのものがないので、ここはかなり商用車として割り切っている、と考えるべきだ。「e-アトレー」を普段乗りの乗用車として検討しているひとにとっては「N-VAN e:」とどちらにするか、もしくは価格や電池容量次第では、2026年に導入が予定されているBYDの軽自動車規格の乗用車「ラッコ」とも悩むかもしれない。



月間販売目標台数は、ダイハツが「e-アトレー」と「e-ハイゼット・カーゴ」を合わせて300台、トヨタの「ピクシス・バン」でも50台となかなか少ない。ただし発表会後に行われた質疑応答では増産への対応は可能という声も出た。既存のディーラー数や商用車としての企業からの受注などの需要を考えれば、伸びる可能性はかなり高いだろう。



ダイハツとトヨタ、そして後々スズキがおそらく「eエブリイ」「eエブリイ・ワゴン」の名で加わることになるこれらの軽バンたちの登場で、日本市場における電気自動車の普及速度が着実に今後、高まるのは間違いない。

今回の発表で唯一残念に感じたのは、2モーターによる4WDモデルの投入もあれば、かなり地方などで需要はあるのでは、という点くらいだろうか。

文=上田純一郎(本誌) 写真=ダイハツ、トヨタ

(ENGINE Webオリジナル)

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