このところのトヨタのフロント・マスクの特徴として挙げられるのが“ハンマーヘッド”だ。このワイドかつシャープなヘッドランプまわりのデザインは、“ハンマーヘッド”(ハンマーヘッド・シャークや金づちなど)をモチーフとしている。
2021年に発表された「bZ4X」から採用され、プリウスやクラウンなど、さまざまなモデルに展開されている“ハンマーヘッド”の歴史やバリエーションを画像とともに見ていこう。
トヨタの“ハンマーヘッド”は2021年に初登場したデザイン
トヨタ車に次々と採用されている新しい顔“ハンマーヘッド”がいつ誕生したのか調べてみると、2021年に詳細情報が公開された電気自動車専用モデル「bZ4X」からだった。

▲「bZ4X」のデザインスケッチ
当時の資料には、「特徴的なハンマーヘッド形状で独自性にチャレンジ」という一文がある。この時から、トヨタの新しい顔として“ハンマーヘッド”という言葉が使われるようになった。「bZ4X」のデザイン・スケッチを見てみると、たしかに“ハンマーヘッド”の表記が見つけられた。

▲「クラウン・クロスオーバー」(初期の“ハンマーヘッド”スケッチ)
その後、“ハンマーヘッド”は、「プリウス」や「クラウン」などにも展開され、SUVの「RAV4」にも採用された。なお、「RAV4」に採用されたものは、“SUVハンマーヘッド”という名称となっている。このことからも、今後、トヨタのSUVには、「RAV4」の流れをくむタイプが採用される可能性が高いだろう。
こんなにある!日本国内の“ハンマーヘッド”!
2026年2月時点で“ハンマーヘッド”デザインを採用した日本国内で販売されているトヨタ車は、「bZ4X」、「プリウス」、「クラウン(クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステート)」、「アクア」、「RAV4」だ。

▲「トヨタbZ4X」

▲「トヨタ・プリウス」

▲「トヨタ・クラウン(クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステート)」

▲「トヨタ・アクア」

▲「トヨタRAV4」
海外で販売されているモデルも次々と“ハンマーヘッド”に!
しかも、日本国内で販売されている車種だけでなく、海外市場でのみ展開されているモデルにも、“ハンマーヘッド”が採用されている。
中国で販売されているトヨタの電気自動車「bZ3」は、国内の初代および2代目の「bZ」シリーズに共通する“ハンマーヘッド”デザインだ。

▲「トヨタbZ3」
また、米国で販売されている「カムリ」や「C-HR」も同様に“ハンマーヘッド”デザインを採用している。

▲「トヨタ・カムリ」

▲「トヨタC-HR」
その他にも、欧州市場で販売されている「アーバンクルーザー」にも“ハンマーヘッド”の面影が見られる。

▲「トヨタ・アーバンクルーザー」
ひと目で「トヨタだ!」とわかるデザインを採用する理由とは?
“ハンマーヘッド”は、ひと目でトヨタ車だとわかる印象的なデザインだ。それを採用する理由は、トヨタ・ブランドをより認識しやすくするためだと考えられる。

▲「クラウン・クロスオーバー」のデザイン・スケッチ
例えば、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、マツダ、スバルなどは、フロント・グリルやヘッドランプまわりのデザインを共通とすることで、ひと目でどこのブランドかがわかる。
これらのように、トヨタもフロントまわりのデザインを共通化することで、新しいトヨタ・ブランドを定着させようしているのだろう。

▲「トヨタ・カムリ」(2026年モデル)
とはいえ、まだすべてのトヨタ車が“ハンマーヘッド”デザインになったわけではない。そのため、これから登場する新型車をはじめ、一部改良やマイナーチェンジなどのタイミングで、“ハンマーヘッド”デザインが採用される可能性が高い。
もし、トヨタ車すべてに“ハンマーヘッド”を採用するとなった場合、すでに1つのブランドとして確立されている「ランドクルーザー」のデザインも変わるのだろうか。しかし、2025年10月に発表された「ランドクルーザー“FJ”」には、“ハンマーヘッド”が採用されていない。

▲「クラウン・スポーツ」(中間デザインスケッチ)
“ハンマーヘッド”によるデザインの共通化は、ブランドを確立していくうえで重要なポイントといえる。ただ、各モデルごとの個性が失われてしまう(車種の見分けがつかなくなる)可能性がある。この点における差別化をどのようにしていくのだろうか。
また、トヨタ・ブランドの各モデルで“ハンマーヘッド”を共通デザインとした場合、GRやセンチュリーはどのようなアイコンを採用するのだろうか。
トヨタが欧州車などのように、ブランド・アイコンとして“ハンマーヘッド”を定着させつつ、その意匠をどのように進化させていくのか、今後はヘッドランプまわりのデザインの変化も注目だ。
文=齊藤優太(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)