ひと昔前のレプリカ車両は、容易にベース車の察しがつく感じだった。特にスーパーカーを題材としたモノはバレバレで、すぐさまお里が知れたといっていい。しかしその後、よきベース車が複数誕生し、ビルダーの技術が向上したことで、もとがなんだか分からないばかりか、パッと見では本物との区別がつかない多様なレプリカ車両が次々登場することになった。
この3台、ベースは全部日本車です!
コンプリートカー・ビルダーとして、さまざまなカスタム・モデルを製作しているアートレーシングは、パッと見では本物との区別がつかない完コピ車両ばかりをデリバリー。日本屈指の存在として、自動車趣味人の間で大いに注目されている。

ノスタルジック2デイズ2026でも名車の個性を忠実に再現したカスタマイズ車両を披露したが、やはり、クルマに明るくない来場者はアートレーシング製ではなく本物だと思っていたようだ。

展示されていたのは「ダイハツ・コペン」がベース車の「ポルシェ911カレラRSRスタイル・マルティーニ・レーシング」、「スズキ・カプチーノ」がベース車の「アート・ヒーレー・スプライト・マーク1」、そして「トヨタMR-S」がベース車の「アートGT40マーク1」という3台で、いずれも驚くほど完成度が高かった。

まず「911カレラRSRスタイル」は、アートレーシングのスタッフが講師を務めている日本工科大学校の自動車学部カスタム科の学生たちがアルミ板から外板を成形したカスタマイズ車両で、まさか迫力あるボディの内部に「コペン」が生息しているとは思わなかった。


いっぽう「アート・ヒーレー・スプライト」は、筆者が定期的に取材に行くイベントで水色の車両を頻繁に見かけていた。今回は展示されているホワイトとグレーの実車を前に、製作順や詳細を教えてもらった。

まず水色が初号機(ハードトップも用意)。ここで培われたノウハウを元に、2号機となるホワイトの展示車両を製作。そしてこの2号機がキット版の「アート・ヒーレー・スプライト」の雛形となった。その後、3号機として別の薄い水色の車両を手がけることに。

キット化されたパーツが組み込まれ、ユーザーのリクエストに応えて誕生したのがグレーの4号機というわけだ。
「アート・ヒーレー・スプライト」のボディ・キットおよびヘッドライト/テールランプなどによって構成されるべーシック・モデルの価格は、327万8000円(税込)で、そこにオプションのフロント・スクリーン/ワイパー・セットやサイド・スクリーン/幌セットなどを組み合わせていくことになる。

グレーの4号機は、さらにオプションのメーター類(スミス製)&ウッド製のステアリング・ホイール/ウインカー、ワイパー・スイッチセット(71万5000円)というオプションを組み込んだ仕様になっていた。

内外装以外にも「スズキ・カプチーノ」のエンジン本体のリビルドをはじめとするメカニカルな部分のリフレッシュもオプション・メニューとして用意しているので、長きにわたってストレスなく楽しめるはずだ。
ミドシップだがエンジンは横置きでしかも2ペダルの「GT40」?
もっともブース内で目立っていた「アートGT40」は実は2号機で、こちらもユーザーのオーダーで製作された。

このクルマのために本気モードで造ったというホイールを装備。見た目はゴリゴリのレーシング・カーなのに、実はエアコン、パワステ完備でしかも変速機はAT。パドル・シフト操作で操れる快適仕様になっていた。


「トヨタMR-S」がベース車だが、リアミドに横置きに搭載されていたのは排気量2356ccのホンダ製K24型直列4気筒DOHCエンジン。


アートレーシングがオーナーのニーズに合わせ、世界に一台だけのクルマを製作してくれることを物語る好例であった。

同社は往年のオープン・モデルやレーシング・カーのみならず、コンセプト・カーやクラシカルな雰囲気のトランスポーターまで製作してくれるので、脳内で理想とするクルマのイメージを温めている人は、頼ってみるといいだろう。
文と写真=高桑秀典
(ENGINE Webオリジナル)