2026.03.05

CARS

かつてのレコード・ブレーカーは遠い昔?【ライバルはトヨタbZ4Xやスバル・ソルテラ】4代目「ホンダ・インサイト」は時代の先を照らす存在へ

ホンダの2026年の隠し球!「インサイト」の名が復活に!

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2025年のジャパン・モビリティ・ショーや年明けのオートサロンで展示された「スーパー・ワン」や「パスポート」など、昨今のホンダの動きはかなり活発。そんなホンダの2026年の市販車として、2月末に発売となった新型「CR-V」、そして改良版の「ZR-V」に続いて登場する第三のモデルは、やや背の高い5ドア・ハッチバック・ボディとなるクロスオーバーSUVになる。その名は通算4代目となる「インサイト」だ!

誰もが「え?」っと驚くネーミング


新型「インサイト」は、特徴的な前後に呼応するような“く”の字型のLEDライト・シグネチャーをはじめ、前後一文字のLEDランプなど、既存の日本市場におけるホンダ車たちとは共通項の少ない、斬新なスタイリングを採用している。とはいえその見た目から「あれ? これはどこかで見たことがある?」と感じたひとも多いはず。



実は4代目「インサイト」は、1999年の初代から続いてきた内燃エンジン+モーターのハイブリッド・モデルの後継車ではなく、完全な電気自動車だ。中国・武漢で生産されている「e:NS2」を改名したもので「WR-V」や「オデッセイ」、「アコード」同様に輸入販売されることになる。



「e:NS2」は2023年に純電動ブランドの「e:N」として登場したシリーズの第二弾。中国のホンダ公式サイトでは電気自動車のラインナップとして、大型SUVの「S7」や、同じくクロスオーバー型SUVの「e:NP2」と並んで紹介されている。



発表に先立って行われたメディア向けの内覧会で、いちばん最初に驚いたのは壁に掲げられていたその名前だった。「インサイト」といえば、ホンダ初の量産ハイブリッド車であり、燃費のレコード・ブレーカーとして世に出たことや、後にトヨタの「プリウス」との価格競争で大いに話題になったことなどがすぐに頭に浮かぶ。



もともと“インサイト(insight)”という言葉は“推察”など、先々を見通すことを意味している。初代モデルは乗員を2名に割り切り、モノコックをアルミ化し、リアにホイール・カバーを設けるまでしてとにかく効率を追求した、いわば省燃費のパイオニアだった。



だから、新たな時代のニーズを“推察”するという存在ならば、確かにまたこの名が現代の電気自動車として復活しても、おかしくはない。



とはいえホンダ社内でも一度3代目で途絶えた「インサイト」の名を蘇らせることについては、かなり議論があったようだ。しかし2025年の「N-VAN e:」と「N-ONE e:」という軽規格の電気自動車の導入に続き、2026年に「スーパー・ワン」とともに新型「インサイト」を投入することで、2027年にはじまるホンダの「0(ゼロ)」シリーズへ橋渡しをする、つまりは電気自動車の普及を推し進める役目も担うのだという。確かに話題性や認知度を鑑みれば、なかなか聞き馴染みがない「e:NS2」をそのまま用いるよりも、ずっとインパクトはあると思う。

ライバルはトヨタ「bZ4X」やスバルの「ソルテラ」


ぱっと見は先代「インサイト」同様のクーペ風の4ドア・セダンなのだが、床下にバッテリーを載せる電気自動車らしく、ぐっと上下方向に厚みが出てスクエアになり、迫力が増している。リア・ゲートは大きく開き、トランク・ルームとキャビンは繋がっているから、5ドア・ハッチバックということになる。



歴代「インサイト」は内燃エンジン+モーターのハイブリッド、というパワーユニットこそ共通していたが、ボディ形状は2ドア・クーペ、5ドア・ハッチバック、5ドア・サルーンところころと変わり、一貫性はなかった。4代目は、先々代と同じ車形へ先祖返りしたということになる。



車体寸法をはじめ、詳細なスペックは判明していないものの「e:NS2」の数字で見ると、全長×全幅×全高は4788×1838×1570mmだから、シビックと比べると228mm長く、38mm幅広く、155mm高い。アコードに対しては、87mm短く、22mm狭く、120mm高い。直接のライバルとなるであろうアッパーミドル・セグメントの電気自動車のトヨタ「bZ4X」やスバルの「ソルテラ」とはほぼ同じサイズ感となるが、やや背が低め。残念ながら車高から推察するに、一般的な立体駐車場の使用は厳しいだろう。ちなみにホイールベースは2735mmだ。



パワーユニットは1モーターで、前輪駆動のみとなる。モーターの出力は204psでバッテリー搭載容量は68.8kWhだ。中国市場における航続距離の公表値は545kmとなっており、WLTCモードでは500km超となる。急速充電器を用いたフル充電までの時間は約40分だ。なお、現在の日本市場におけるホンダの電気自動車は、軽規格の「N-VAN e:」と「N-ONE e:」のみだから「ホンダe」以来の久々の普通車規格の電気自動車となる。「インサイト」や「bZ4X」、「ソルテラ」の属するアッパーミドル・セグメントは、電気自動車の市場としては軽に続くボリューム・ゾーンでもあるため、そこを見越しての改名と導入ということになったそうだ。

インテリアにはホンダ初となる装備も


内覧会ではネット販売のみとなるホワイト基調のインテリアの車両を検分することができたが、“Sukkiri(スッキリ)”という室内のコンセプトの通り、メインの大型ディスプレイ以外、非常に無駄がない、先鋭的な仕立てだ。とはいえデジタライズが進みすぎている、ということもなく、ステアリングのスポーク基部やディスプレイ下には機械式スイッチが並ぶ。センター・コンソールは前後スライド式となっており、車内のウォーク・スルーも可能だ。



「インサイト」の室内にはホンダ初となる2つの装備が組み込まれている。まずは冬季にありがたい輻射熱を利用したインテリジェント・ヒーティング・システム。これはシートやステアリングのヒーターに加え、前席左右ドア・パネルと運転席&助手席の前のインストゥルメント・パネル下にシステムが組み込まれており、触れるとほんのりと暖かい。ファンで風を送る必要がないため乾燥しにくく、電費にも貢献する。



もう1つは合計6種、最大3つの香りを車内で体験することのできる新開発のアロマ・ディフューザーだ。インストゥルメント・パネルの右側に挿入部があり、気分や状況に応じて自由に交換ができる。

価格を含む詳細は今のところ公開されていないが、2026年度のCEV補助金はこの「インサイト」でも2025年度の90万円に対しプラス40万円となる130万円を見込んでいるそうだ。マイナーチェンジと同時にオフローダー風のモデルなどバリエーション展開を進めている「bZ4X」や「ソルテラ」といったライバルに対し、ホンダが「インサイト」にどれほど競争力のある価格設定をしてくるのか、注目したい。



なお、正式発売は2026年春の予定となっており、3月19日以降は先行予約の受付も開始する。

文=上田純一郎(本誌)

(ENGINE Webオリジナル)
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