2026.04.16

CARS

いうなればこれはFRのナロー・ポルシェ!! 上陸50周年を迎える「924」とその歴史をまとめた愛のあふれる展示とは?【オートモビルカウンシル2026】

生誕50周年を迎えた「ポルシェ924」とその愛のあるディスプレイに注目!

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オートモビルカウンシルでは例年、車両の展示のほか自動車関連の書籍やミニカーを販売しながら珈琲などを提供し、来場者の憩いの場となっている空間がある。それが埼玉・所沢のDUPROのブースだ。同店はいわゆるバーン・ファインド車をこれまでいくどもディスプレイし、蘇らせてきた。いわば不動状態からの復活を行うスペシャリストだ。過去には50年近く眠っていた1972年型「アストン・マーティンDBS V8」や、2台の「ポルシェ924」を用いて製作した924“カレラGTSスタイル”などをこの催しで披露してきた。

ポルシェ924を研究し尽くした成果がここに!


だが、今年の主役はそうした蔵出し車ではなく、ブルーの「ポルシェ924S」と、その後方に設けられた、素晴らしい展示物だったのである。

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今回のブルーの924はワンオーナーの“S”で、すでに売却済みとのことだが、当時のオリジナルの状態をよく保っていた個体だった。ただ、それ以上に来場者の注目を浴びていたのは、その後方の展示である。2026年は924が上陸してから記念すべき50周年ということで、それを祝うべく、車両に加えて924の足跡をまとめた年表を製作し、貴重な関連資料やアイテムとともに公開したのだ。



いやはや、これはまさに同社代表・渡辺大介さんによる924愛の賜物である。ただの自由研究ですよ、と謙遜されるが「924カレラGTS」を除いて、すべてのこの年表に使われている924の写真は渡辺さんたちが撮影したものだというからすごい。

壁に掛けられた年表完成まではなかなかの苦労もあった。たいてい発表時の情報などは詳細なリリースが残っており、デビューの時期はすぐ分かるのだという。しかし、いつ販売を終えたのか、いつ生産が終了したかを確定するのはなかなか難しかったそうだ。



「今回の年表作成では発見もありました。カーグラフィックをはじめ、どんな資料を読んでも、1975年11月に924は発表そのものはされているんですが、どこでどんな発表を行ったかが分からなかったんです。普通はモーターショーの会場だったり、お披露目の場所があるはずなんですが。なぜだろう? と思ったら、ちょうどオイルショックだったんですよ。そこで、こうしたスポーツカー系の催しは控えたようなんです。結局フランス南部の別荘地で、メディア向けだけに発表会を行っています。その時の写真がこのカーグラフィックに……」

このことは特に情報がなく、924マニアのアメリカ人の文献が参考になったという。カーグラフィックにも公式の写真そのものは掲載されているのだが、その場所は一切分からなかったのだそうだ。



「こちらのポスターは924デビューの時の資料の透視図、こっちは当時の輸入元のミツワが、日本仕様をはじめて登録する際に国土交通省に型式認定をするために提出した資料で……」



もう次から次へと924に関するお宝とストーリーが飛び出してくる。渡辺さんに話を聞くだけで、まるごと1冊924の日本公式ブックを完成しそうな勢いだ。

ただし渡辺さんは自らを924だけのひと、ではないという。

「何でもうちに入ってきたクルマに関しては調べてしまうんです。そうして集まっちゃったものを、こうして展示させていただいているだけなんです。これでもまだ、一部なんですけど(笑)」



また、あくまでもこうした資料やアイテムは販売品ではなく、研究のための対象なのだそうだ。

二桁ナンバーのワンオーナー車


展示車の「ポルシェ924S」に関しても紹介しよう。もともと「33」の二桁のナンバープレートの付いたワンオーナー車だったが、所有者が高齢で免許返納となり、手放されたのだという。残念ながら売却時の条件でナンバーは継承できなかったそうだが、次期オーナーは決まっており、カウンシルでの展示に間に合わせるべく今回は仕上げられた。



エンジン・ルーム内に目を向ければ、確かに消耗品や細かなホース類などが一通り交換されているのが分かる。



これほどまでに渡辺さんが924にこだわっていると、同じく924を愛する人も集まってくるそうだ。

「毎年カウンシルで924を何らかの形で出展しているおかげで、“何か(出物は)ない?”という問い合わせも結構あります(笑)」



しかし後継の944は比較的タマ数もありそこそこ流通しているが、924はなかなかそうはいかない。911以外のポルシェは比較的安価だったことや、944や928と同様、924は長らくきちんと評価されることもなく、乗り潰されてしまうケースも少なくなかったからだ。

「だから順番待ちみたいな感じになってしまっています。“万一管理している車両のオーナーが手放すならぜひ924が欲しいから教えて欲しい”という方もいらっしゃいます」



924をそれだけ愛し、DUPROと渡辺さんの924にかける情熱とノウハウを知ればこその順番待ちなのだろう。

とはいえ924もやはりポルシェである。

「取引価格こそ911のように高騰していませんが、911と比べても修復作業の工数は変わりません。部品はやはりポルシェですから高価ですし、もうないものもあります。924の“S”に関してはアウディ系の部品をあまり使っておらず、944とも同じエンジンを共有していることもあって比較的ましですが、924ターボはひどい(苦笑)。全部専用部品なので……。もちろん我々は924に関しては色々部品をストックもしてありますので、維持は可能なんですが。この青い924Sもベースとしては良かったんですが、やはりやらなくてはいけないことはしっかりありました」



924を仕上げて販売する場合の、あくまでおおよそではあるが相場を尋ねてみると、だいたい400〜500万円くらいになるという。生半可な熱意では難しいだろうが、DUPROの渡辺さんが手がける924順番待ちの列に、並びたくなったひともいるのではないだろうか。

文と写真=上田純一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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