2026.04.21

CARS

海外からオリジナルの布地を1ロール取り寄せ!? 希少なメルセデス・ベンツ500SLCでこのレストア内容なら1750万円は高くない!【オートモビカウンシル2026】

ただの旧いメルセデス・ベンツSLじゃない! クーペのSLCの、しかも希少な500SLCだ!

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千葉県市川市のメルセデス・ベンツ正規販売店であるメルセデス・ベンツ浦安ALL TIME STARS(株式会社シュテルン品川)がオートモビルカウンシル2026に出展したのは、名車としてその名が知られる1992年型のメルセデス・ベンツ500Eと、1981年型の500SLCだった。

ごく自然な風合いの外観と、恐ろしく綺麗な室内


このALL TIME STARS(ATS)とは、旧いメルセデス・ベンツのサポート・サービスで、メーカー主導により歴史あるクルマを後生に残そうというもの。クラシック・メルセデスを“コンコース・エディション”、“コレクターズ・エディション”、“ドライバーズ・エディション”という3つのカテゴリーに分類し、専門のメカニックによる入念な整備と点検の後、販売を行っている。



メルセデス・ベンツ浦安ATSが当日会場で配布していたパンフレットに掲載されていたのは、比較的新しい2010年モデルのSLS AMGを除くと、3台のE500をふくむW124たちを中心に、W201、R107といったいわばメルセデスの黄金時代を築いたモデルたちばかりだった。ATSの対象となるのは新車から10年を過ぎた車両で、同社で主に扱うのはヤング・クラシックと呼ばれている20年〜30年が経過した個体だという。

しかもメルセデス・ベンツ浦安ALL TIME STARSのオリジナルの保証として、取り扱い車には納車後1カ月以内は車両価格の90%での買い取り保証(所定の条件あり)も設定しているそうだ。



会場内で注目されていたのはやはり知名度の高いブラックの500Eのほうだったが、ブースの中央に鎮座するシルバーの500SLCもまた、来場者たちはしげしげとインテリア、特にシートを熱心に眺めていた。

同世代のSLや、この後のSECのイメージが強かったこと、また上陸した台数がさほど多くなかった時代ということもあり、その名があまり知られていないSLCだが、500E同様に、500SLCは近年は知る人ぞ知る一台として再評価がされている。



ブースに展示された500SLCは確かに内外装ともに美しいのだが、サイドのモールや樹脂バンパー部など、自然な経年変化を感じられる部分もあえて残しているようにも見える外装に対し、ブルーのベロアを用いたシートが、恐ろしく程度がいい。

乗降時に自然と体重を掛けてしまい擦れたり破れたりしてしまいがちなサイド・サポート部分にも、一切ダメージを見つけることができない。

1971年に登場した3代目のSL、いわゆるR107をベースとするSLCは、1980年のマイナーチェンジで展示車の500SLCが追加投入されている。しかし翌年にはクーペのSEC、つまりC126が登場したため、500SLCはわずか1154台しか造られなかったという。

つまりどんなに新しくても、目の前の500SLCは45年以上の時間が経過している計算だ。実際、車両の前に置かれたプレートなどによればこのSLCは1981年モデルの並行輸入車で、走行距離は10万2000km台、価格は1750万円とのことだが、それにしては、明らかに内装の状態が良すぎる。ウッドパネルの状態も素晴らしく、灰皿も曇り一つないほど磨き上げられていた。



外装のペイントや、内装でもダッシュボードなどは、いくら時間が経過していてダメージがあっても、ある程度美しく蘇らせることができるが、布関係はそうはいかない。特にベロアのシートはうっかりたばこの灰を落としただけで簡単に穴が開き、部分補修をすることなどは珍しくない。しかし目の前のシートは補修の跡がなく、4席とも風合いが揃っていて一切日焼けもしておらず、ほんとうに新品同様なのだ。

メルセデス・ベンツ浦安ATSの森 進太郎氏に話を伺ったところ、この500SLCはおそらく10年以上不動状態だったようで、入庫してきたときはなかなかにひどいコンディションだったそうだ。現状まで蘇らせるのに、約2年を要したという。

「我々のチーフ・メカニックが単純にR107が好きということ、希少なSLC500ということもありまして、ホワイト・ボディまでいったん分解して再組み立てを致しました。ボディは錆びやすい前ホイールアーチ内部などを中心に補修しています。足まわりはブッシュ類、機関系は消耗品を中心に数多くの部品を交換しました」

内装がこれほど美しいのには、やはり理由があった。



「偶然なんですが、このシート用のブルーのベロアが1ロール分ストックが見つかったんですよ。これはメーカー主導のこうしたプログラムならではのエピソードですね。(ストックを探すために)ドイツ本国に掛け合ってくれまして……。その見つかった新たなベロアで型を取り、シートはすべて張り替えを行っています。同時にフロア・カーペットも交換、ウッドパネルは張り替えています。ダッシュボードは割れてしまい、ひびもあったので補修しましたが、ドアの内張などは当時のままですね。エアコンも普通に効きます。オーディオのみ、オリジナルからブルートゥース対応のメルセデス・マーク入りのものに付け替えています」




希少な500SLCだが、すでに同店では次の個体が修復を待っているという。

「500SLCはここ2年で2台入庫しました。1台はレストア前ですが、すでに売却済みで11月に納車を予定しています。今は部品をかき集めている状況です」



取材中もブース内では「実は3台ほどメルセデスがあるのだが、見てもらうことはできるだろうか?」と年配の男性がスタッフに相談している声が聞こえてきた。免許を返納しても離れがたくて……という思いを持つオーナーは少なくない。



「そういったお話は多いですね。そして皆さん口を揃えて“大事にしてくれる人にぜひ乗って欲しい、きちんと乗って欲しい”とおっしゃいます。以前はサンフランシスコから直接足を運ばれるような、とても熱意のある方もいらっしゃいましたが、投機対象などで海外に流出してしまうのは、私たちは基本的にはお断りをしています」

1台でも多くのメルセデスが、この500SLCのように見事に蘇り、ここ日本で次世代へと繋がれていくことを祈りたい。

文と写真=上田純一郎

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