新型「シトロエンC3エアクロス」が上陸した。
ニューC3エアクロスはセブン・シーターに!
東京湾を一望できる会場でお披露目された新型「C3エアクロス」は2台展示されていたが、ひな壇の上のいちばん目立つ1台は新色の“ヴェール・モンタナ”という深みのあるグリーンを纏っていた。

屋根部分とボディのデュオ・トーンとなるペイント、上下2段の横の細いLEDの配置、フロント車体下部にシルバーを配するなど、デザイン言語は兄貴分の「C5エアクロス」とほぼ同じなのだが、よりキュートで、かつ引き締まっていてワイルドな印象だ。縦長楕円のダブル・シェブロン、最新のシトロエン・エンブレムも違和感なく収まっている。

日本市場および欧州では2代目となるが、実は“C3エアクロス”という同名の別モデルがラテン・アメリカ、中国、インドなどでも展開しているワールド・カーでもある。
日本向けの先代「C3エアクロス」は2019年7月にデビュー。3代目「C3」をベースとしたハイト系の5ドア・ハッチバックで、シート・レイアウトは2列5座。ただし後席は分割可倒式かつスライドとリクライニングが可能だった。

それからちょうど7年を経てやって来た新型「C3エアクロス」は、2+3+2の3列7座レイアウトを採用したのが何よりのトピックだろう。5座の先代モデル比で全長は+250mmの4410mm、全幅は+25mmの1790mm、全高は+30mmの1660mmに。弟分の素の現行4代目「C3」比では全長が+395mm、全幅が+35mm、全高が+70mm、ホイールベースが+130mmの拡大となる。

パワートレインは「C3」およびシトロエンの属するステランティス・ブランド各車で共有する1.2リットル直列3気筒ターボ+モーターのマイルド・ハイブリッド。6段のデュアルクラッチ式自動MTを介して前輪を駆動する。ただし共有とはいえ「C3エアクロス」のシステム出力は「C3」の110psに対して145psと、「アルファ・ロメオ・ジュニア」などと同スペックの高出力版となる。車両重量が1390kgと、「C3」比で+120kgとなる重量増を踏まえての組み合わせだろう。
なお「C3」では純電気自動車の「e-C3」がラインナップされているが、「C3エアクロス」に関してはマイルド・ハイブリッド仕様のみがまずは上陸している。



日本市場において、比較的扱いやすい車体サイズながら7人乗りというパッケージを採用したことに加え、シトロエンならではの技術である機械式の二重構造ダンパー、プログレッシブ・ハイドローリック・クッションと、1列目、2列目にはサポート性の高いアドバンスト・コンフォート・シートも採用。にもかかわらず、ベース・モデルの“プラス・ハイブリッド”で399万9000円、上位の“マックス・ハイブリッド”で435万円(両者の差はフロント・フォグ・ランプ、ステアリングおよびフロント・ウインドウ、前席のヒーター、自動防眩ルーム・ミラー、ボタン式スターターの有無程度で、安全や走行性能に関する装備差はない)と、かなり競争力のある価格を実現している。


実際に展示車両に乗り込んで前後2列の席に座ってみたところ、175cmの筆者であれば居住空間としてまったく問題はなかった。2列目でも前席下に足先が入るし、頭上の空間にも余裕がある。
ただし3列目に関しては話が別だった。2列目シートは座面と背面が一体で大きく跳ね上がるので開口部もある程度確保され、アクセス自体はさほど難しくはない。そして座面の長さや背面の形状、ヘッドレストとの位置関係は問題ないのだが、足元部分の余裕は残念ながらほとんどなかった。
あくまで常用ではなく短時間の移動や、年末年始やお盆など帰省した小さな家族を乗せるといったような用途としてのシート、と考えていいだろう。

ちなみに同じく3列レイアウトを採用し、ハイブリッド・ユニットを搭載する「トヨタ・シエンタ(ハイブリッドの“Z”グレードで7人乗りは332万2000円〜)」や「ホンダ・フリード(“e:HEV AIR EX”の7人乗りは325万6000円〜)」と比べても、国産勢ではオプションとなっている装備の選択次第では、「シトロエンC3エアクロス」との価格差はそれほど大きくない。


また、この2つの国産車、特に「シエンタ」はモデルによってかなり納期まで時間もかかるのがネックだ。

現行日本仕様のシトロエンのラインナップにおいては、2+3の5座レイアウトおよび2+3+2の7座レイアウトで長短2つのボディ&両側スライド・ドアを持つ商用車ベースの「ベルランゴ」が2019年の上陸後から長らく人気者となっている。2024年のフェイスリフト後もその勢いは続いており、それ以外のCシリーズ各車との差が大きいそうだが、新型「C3エアクロス」はデザインの面においてもサイズにおいても価格においても、そこをしっかりとカバーできる魅力の持ち主といえるだろう。

そしてシトロエン・ブランドの乗用車としては「グランドC4ピカソ」/「グランドC4スペース・ツアラー」以来の久々となる3列シート・レイアウトのモデルでもある。キャラクターにかなり違いがあり、車体サイズもパワーユニットもダウンサイジングとなるが、乗り換え候補として長らく待っていたこれらのオーナーも多いのではないだろうか。

新型「シトロエンC3エアクロス」はヒットの予感を秘めた、この夏注目の1台となりそうだ。
文と写真=上田純一郎 写真=シトロエン
(ENGINE Webオリジナル)