モータージャーナリストの国沢光宏さんの「アガリのクルマ」はこの2台!
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                    最後の純エンジン車隣のクルマは「最後の純エンジン車」として購入した。ボクスターも考えたが、いかんせん入手難。というか、購入出来ない。加えて相場もうなぎ上り。だったら子供の頃から親しんだ日本車でしょう。GR86やBRZ、ロードスター、GRヤリスなど候補にしたが、ヨメさんから「私も最後のクルマにしたい。フェアレディZのマニュアルがいい」。かくして我が家にやってきた。

説明するまでもなくフェアレディZというモデル、スポーツカーのカッコをした実用車として生まれた。1969年にアメリカで発表されるや、性能の割に安価だったため売れまくる。そのDNAをしっかり引き継いでおり、購入したベースグレードは、ナビなど必要な装備が全て標準でいながら539万9800円。搭載されるのは405psの3リッターV6ツインターボだ。

1馬力あたり1万3300円。この手のクルマとして考えたら世界一安いと言っていいだろう。ほとんど期待しないで買ったのだけれど、予想のはるか上を行く楽しさだった。とにかくパワフル! 速度リミッターをカットした試験車は0~400mを12秒台で走り、最高速280km/hを超える。低い回転域から太いトルクを出すため、1段飛ばしのシフトアップでストレス無し。

といった意味では気難しさ皆無の高性能クーペだと思う。されどいかんせん基本設計が古いし、基本となるボディ骨格も体力不足。アメリカではクルマの売れ行きを左右する「スキッドパッドの横G」を出すべく太いタイヤを履いているため、シャシが負けている感じ。私のように気難しいクルマ好きだと気になってしまう。そんなことから少しばかり手を加えたいと考えている。
初代Zのラリー仕様
具体的には初代フェアレディZのラリー仕様だったりして。サファリ・ラリーで優勝しているし、FR車は不利と言われるモンテカルロ・ラリーも3位に入り存在感を見せている。先日、ポルシェ911ダカールに試乗した。ラリーレイドに出場した953を意識したモデルである。乗ると標準の911より挙動がマイルドで疲れず、シート高も上がっているため乗り降りで「よいしょ!」とならない。

フェアレディZもタイヤ・サイズを少し補足して車高アップさせたらカッコいいし、乗りやすくなりそう。実はそのためにボディ・カラーもオレンジを選んだ。ボンネットを黒くするか迷っているところ。オフロード・パターンのタイヤを履かせ、マッド・フラップ付け、補助灯なんかも付けると気分が出てくる。考えるだけでワクワクしてくる。やはりクルマいじりは楽しい!
孫にプレゼント
10年くらい乗り、現在11歳を筆頭に6人いる孫の中で一番のクルマ好きにプレゼントするつもり。2050年のカーボン・ニュートラルまで26年ある。10年後にバトンタッチしたって16年乗れるだろう。複雑な部品を使ってないのも好ましい。読者諸兄も、長いスパンで最後の純エンジン車を選ぶことをすすめたい。
ちなみにマニュアルは電動化車両になると絶滅する。マニュアル免許取得したって乗るクルマ無い? というか教習車はどうするんだろう。そういったことまで想像を巡らせられるマニュアルって楽しい。どの孫がオレンジ色のフェアレディZに乗るんだろうというあたりもワクワクします。天国にいるジイサンが買ったクルマという設定、クルマ好き冥利に尽きる。
文=国沢光宏 写真=茂呂幸正

(ENGINE2024年12月号)
                    
                        
                    
                                        
                 
             
            
            
            
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