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前には剥き出しのVツイン。ダブルウィッシュボーン・サスペンションの外側には、昔のバイクみたいに細いタイヤが2本。そして後ろは1本。最初は「なんかおっかないし辛かったら途中で帰る」つもりだったのに、結局カメラマンが待ち構える峠道まで大冒険となった。新車でキャブなんて、いまどき許されるの? アクセレレーターを踏み込んだら、心地良いエグゾースト・ノートじゃなく、アチコチからカンカン、コンコンと得体の知れない音もする。ステアリングは中央付近がデッドで、切り込んでも反応はとっても鈍い。法定速度でも顔には猛烈な風圧が押し寄せてくる。それでも段々動かし方がわかってくると、運転がモーレツに楽しくなってくる。ステアリングをコーナーの遙か手前から切り始め、狙いを定めて右足を踏み込むと、3ホイラーはバッチリ高速コーナリングを決めてくれた。マツダ製の5段MTもスコスコ決まる。ハナミズ垂らして笑いながら運転しているボクは、きっとかなりヤバい感じだったと思う。モーガン3ホイラー、最高だ!(山田弘樹)
バイク用の空冷エンジンを前端に積み、円筒のキャビンから前軸を丸いステアリングで操る。 3ホイラーは戦闘機の雰囲気やスポーツカー的な走りを廉価に提供するという主旨でモーガンの繁栄に大いに貢献、当時のサイクルカー・ブームにも乗り、純然たるスポーツカーである4/4の発売へと繋がっていった。今からざっと一世紀近く前の話だ。現代に蘇った3ホイラーはプレストウィッチのJAPユニットやマチレスのそれではなく、ハーレーのパーツ・メーカーとして60年以上の歴史をもつS&Sのオリジナル2リッターエンジンを搭載。トランスミッションは初代ロードスターなどに用いられるマツダの5速と、英米日の混成となるところも興味深い。見た目の印象よりは癖の小さい走りを突き詰めるもよし、こけないバイク的に近隣を散歩するもよし、その性格は人それぞれの受け止めで如何様にも解釈できる。でもひとつ言えるのは、ともあれ動かすのが心底楽しいということだ。ケータハムは速すぎて億劫という大人にはピッタリの選択だと思う。(渡辺敏史)
モーガン3ホイラーとは、どんなクルマ?
2011年のジュネーブ・ショーで登場したモーガン3ホイラーは、1911年に登場した同社のごく初期のプロダクトのいわばリバイバル・モデル。フロントにむき出しで搭載されるS&S製空冷2リッターVツイン・ユニットは最高出力69ps/5200rpm、最大トルク13.2kgm/2500rpmを発揮し、リア1輪を駆動。変速機はマツダ製の5段MTのみ。0-100km/h加速は7秒、最高速は185km/hに達する。全長×全幅×全高=3290×1740×1105mm。ホイールベース=2390mm。車両重量(乾燥重量)=585kg。車両価格=781万円(2020年時点の価格です)。
(ENGINE2020年4月号)
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