2020.04.18

CARS

【海外試乗記】6気筒復活のポルシェ718ケイマン&ボクスターGTS4.0 なぜGTS4.0を追加したのか?

新フラット6はGT4と同じ

さて、どんな経緯があったにせよ、私はいま、昨年デビューした新型スパイダー&GT4に続いて、718ケイマン&ボクスターのGTSモデルにも自然吸気6気筒が導入されたことに、快哉を叫びたいと思う。


しかも、今度の4.0ℓフラット6は、スパイダー&GT4に搭載されている現行911のエンジンをベースに開発されたものと、コンピューターによるチューニングを除き、素材も含めてすべて同一だと言うのだから願ったり叶ったり。


これまでは、下位モデルである"S"と同じ2.5ℓフラット4ターボをパワーアップして搭載していたことを思うと、一気にスペシャル感が増した印象がある。しかも、911カレラまでもがターボ化された現在のポルシェのラインナップにあって、自然吸気エンジンを持つのはGT系を除いてこれだけなのだから、ますますスペシャル度は高いと言うべきだろう。


スペックを見ると、GTS4.0の自然吸気フラット6は最高出力=400ps/7000rpm(フラット4ターボのGTSは365ps/6500rpm)、最大トルク=42.8kgm/5000-6500rpm(同前、42.8kgm/2100-5500rpm)で、トルクは4気筒ターボ版と同じだが、パワーが35‌ps増強され、当然のことながらより高回転型のエンジンになっていることがわかる。


ギアボックスは今のところ6段MTのみとなるが、今年の終わりまでには7段PDKも用意されるという。ちなみに、6段MTのギア比は4気筒ターボ版も6気筒版も同じだが、PDKのギア比は4気筒ターボ版のそれより7段目のみショートになっているそうで、その方が6気筒エンジンの性格によりマッチするからだという。ターボ・エンジンの方が低回転域でも大きなトルクを出せることが関係していると思われる。



もうひとつ新エンジンの特長に触れておくと、CO2の排出量を大排気量の自然吸気でありながらも減らすために気筒休止システムが取り入れられている。エンジン回転数が1600-2500rpm、トルクが10.2kgm以下で巡航している時に、片バンクを停止させるもので、触媒の温度を下げないように20秒ごとに休止バンクを入れ換える。この涙ぐましい努力によって、CO2排出量は246gに抑えられている。これがなければ11g増えているのだそうだ。


一方、外観上で4気筒版と変わったのは、エグゾースト・パイプが中央2本出しから左右1本ずつになったことと、サイドのエア・インテークの仕切りの数が減ったことだが、これもエンジンの変更に伴うものだろう。あとは随所にGTSのテーマ・カラーであるブラックをあしらったパーツを持つことやインテリアにアルカンターラが多用されていることなどは、これまでと変わらない。


シャシーでは、専用の20㎜ローダウンしたアダプティブ・ダンパーのPASM付きサスペンションが標準装備される。4気筒版の時は10㎜ローダウンだったから、それより10㎜下がっている。そして、さらにもう10㎜下げるスポーツ・シャシーもオプションで用意される。


あとは機械式リア・ディファレンシャル・ロックを含むトルクベクタリングやスポーツクロノ・パッケージ、ダイナミック・ギアボックス・マウント、大径ブレーキ・ディスク、スポーツ・エグゾーストなど走りにかかわるデバイスがすべて標準装備されるのも、これまでのGTSと同じである。


GTSモデルでは定番のアルカンターラを多用したインテリア。シートの中央部をはじめとして、GTスポーツ・ステアリングのリム部分やシフト・ノブ・カバー、ドアの内張り、グローブ・ボックスのフタ、アームレストにまでアルカンターラが使われる。

この個体のシートはオプションのフルバケット。ヘッドレスト部分にGTSのロゴが入るのは標準だ。ただしこの個体では、その刺繍を含めてステッチやシートベルトまでクレヨンという色が使われており、これはオプション。

4つのLEDが特徴的なヘッドライトの内側もブラックが基調。

リアライトとそれを繋ぐガーニッシュ、718ロゴもブラック。

エグゾーストは4気筒版の中央2本出しから左右1本ずつに。

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