これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。自動車ジャーナリストの桂伸一さんが選んだのは、「アストン・マーティン V8ヴァンテージ」。ニュルブルクリンク24時間レースでもドライブした V8ヴァンテージはクルマの出来の良さだけでなく、 ヒト付き合いや常識を教えてくれた貴重な1台だ。
人とクルマの両方で深い絆を得た
“国が、道が、クルマをつくる”という名言どおり、アウトバーンを含む超高速走行とハンドリングを重視するドイツ勢のクルマづくりは誰にでも良さがわかりやすい。
私が愛車にしたドイツ生まれの中で印象深いのは、のちに名車の称号を受けるメルセデス・ベンツ190E。1980年代中盤に日本デビューした当初は、ベーシック・モデルの動力性能は乏しかったものの、同クラス・セダンとの比較テストなどで乗る度に、そのデキの違いに惚れ込んだ。
金庫の扉のように重いドアの開閉感と気密性。つくり込みによるボディ剛性感の高さやフロアの張りの強さも格別だった。走れば轍などの影響を受けない懐の深い直進性に唸った。
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