あらためてクルマとともに過ごしてきた来し方を振り返り、クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて、じっくりと考えてみるスペシャル企画「わが人生のクルマのクルマ」。自動車ジャーナリストの渡辺敏史さんが選んだのは、「初代トヨタ・プリウス」。残りの免許の点数と自動車の行く末を思い、手に入れた初代プリウスはクルマを走らせる喜びとは、けっして速さだけを競うものではないことを教えてくれたのだった。
インテグラ・タイプRと変わらない値段のプリウス
免許をとってクルマを手に入れて、日夜キャッキャはしゃぎながらそれを乗り回していた若かりし頃。燃費のことなどこれっぽっちも考えず、自分で稼いだお金でガソリンを注ぎ込むことさえ、いっぱしの大人気分で誇らしかったりしたもんである。
そんな僕がこの仕事を始めたのが、税制が改正されて2リッター以上の排気量のクルマが身近なものとなり、GTRだZだスープラだRX-7だと、280psの自主規制いっぱいまでパワーを高めたスポーツ銘柄よりどりみどりの、バブル景気と同調し日本車が悲願だった世界水準のパフォーマンスを手に入れた時期だ。当然ながら世の大勢は、燃費のことなど棚に上げての浮かれ気分だった。
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