エンジン"ホット100"ランキング、選考委員が選んだ20年間の集大成! 登場からすでに5年。それでもマツダ・ロードスターは強かった。登場後2年のアルピーヌA110にこそ敵わなかったものの、キラ星のごときスーパースポーツ群を押しのけての2位である。
フェイスブックでこんな記事を紹介する投稿を見つけた。
「マツダ・ロードスターの2020年5月の販売台数が1102台と前年比で31%増加。ロードスターが1000台以上売れたのは19年7月以来で、月1000台以上売れたのは過去3年間で5回しかない」。
5月に増えた!? マツダに問い合わせると、確かに北米(アメリカ、カナダ)で前年同期比3割増しという。元々北米では毎年3~5月がロードスターが最も売れるシーズンらしいが、今年はだって……。
マツダ北米担当は「MX- 5が閉塞感を打ち破るレクレーショナル・ヴィークルとして受け止められた可能性もある」などと分析している。5月に契約するということは4月あたりに決断するケースが多いはず。4月といえば世界中で新型コロナ感染者数が激増し、この先どうなるかわからず最も不安だった時期だ。
このタイミングのクルマ選び以上に本音のクルマ選びがあるだろうか。例えばオープンカーが似合うかどうか、環境に優しい電動車かどうかなんてことは、言ってみれば人にどう見られるかという邪念だ。明日をも知れない状況では本当に自分が乗りたいクルマを選ぶはずだ。コロナがその真実を浮き彫りにしたのではないだろうか。ちなみに日本では、前年同月の399台に対し113台と激減。どれだけ世間体を気にする国民なんだよ。
さて、21世紀の初頭20 年に出たクルマを対象に専門家が選ぶランキングで2位というのは、自動車メーカーにとって名誉なはず。前後にランクインしたクルマを見ればそれがどれほどの偉業かがわかる。
今さら『ENGINE』読者にこのクルマの魅力を伝える必要はないはずだ。すでに世界中に伝わっていて、まだ伝わっていない人にはもうどうやっても伝わることはないだろう。今回の選者たちの理由も、突き詰めれば「軽量の後輪駆動車がもたらす意のままの操作感」に集約される。付け加えるなら、オープンカーならではの爽快感か。
ハード面の魅力に加え、売ったりやめたりせずラインアップし続けたということも、このクルマが入門スポーツカーの代名詞のような存在にまでなった理由だと思う。「数多くのフォロワーを生んだが、デビューから30年余りを生き延びたのはロードスターだけ。簡潔軽量2シーターの偉大なお手本」(高平高輝さん)という言葉の通り、初代のヒット後、MG-F、バルケッタ、SLK、Z3など、影響を受けたクルマが続々登場したが、その多くが、消えたかコンセプトを変えてしまった。
「変えないために変える……がコンセプトだったという現行型。デザインが……といった各論ではなく、総体としての価値が貴重なクルマ」(島崎七生人さん)。時代とともに要件が変わるなか、長年同じような価格の同じような存在であり続けるには、変わり続ける必要があるのだろう。
私自身の目下の最大の関心は、電動ロードスターがいつどのようなカタチで登場するのかということ。それがNE型かNF型かわからないが、どうか初代NA型と同じ喜びをもたらしてほしい。
■マツダ・ロードスター(RFを含む)
全長×全幅×全高=3915×1735×1235㎜、ホイールベース=2310㎜、車両重量=990㎏~。最高出力=132㎰ /7000rpm、最大トルク=152Nm/4500rpmの1.5L直4エンジンをフロント・ミドシップに搭載し、後輪を駆動する。260万1500円(税込)~。
文=塩見智 写真=望月浩彦
(ENGINE2020年9・10月合併号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
2024.05.06
LIFESTYLE
レコードバーって知ってますか? アナログ・レコードを聴きながらお酒…
2024.05.03
CARS
【エンジン音付き!】新型フェラーリ発表! その名も「12チリンドリ…
PR | 2024.05.07
WATCHES
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」2024年春の新作 …
2024.04.25
LIFESTYLE
McLaren Artura Spider × LANVIN CO…
2024.05.05
LIFESTYLE
著名な陶芸家がかつて住んだ朽ちかけた古民家をリノベーション 古道具…
2024.05.01
CARS
なんてお洒落な! 新車同然(いや新車以上!)の190SLと280S…
advertisement
2024.05.12
「走ることが大好きなクルマ通からすれば、正真正銘の天国」 モータージャーナリストの国沢光宏がポルシェ911GT3 RSほか5台の輸入車に試乗!
2024.05.10
「なるほどアメリカで売れるワケだ」 ホンダのフラッグシップ・セダン、新型アコードにモータージャーナリストの国沢光宏が試乗!
2024.05.15
是非、ハイラックス・サーフの復活を! 末裔となる新型トヨタ4ランナーがデビュー ランドクルーザー250のお株を奪うカッコよさ
2024.05.12
釣りも潜りも焚き火もやる人にはこの時計がおすすめ! タグ・ホイヤー アクアレーサー 300m防水でGMTは最強旅時計!
2024.05.12
頭金なし、漢の96回払いで買った14年オチのケイマンと、新車並行でもうすぐ20年のムルティプラ エンジン編集部員のちょっと古い愛車を公開! 愛があればなんとかなる!!