愛らしいスタイリングと背の高さを活かした秀逸な実用性で日本でも多くの支持を得ているルノー・カングー。そのニューモデルがお披露目された。1997年登場の初代から数えて、新型で3代目となる。
スタイリングは2019年に公開されたカングーZ.E.コンセプトの基本要素を踏襲。その顔立ちは、有機的でキュートな現行モデルとは一転して、スクエアで落ち着いた印象だ。ヘッド・ライト・ユニットは、ルノーの現行ラインナップが採用するCシェイプのデイタイム・ライトを内包している。そこから大ぶりなフロント・グリルへの連続性を持たせたデザイン手法は、最新のメガーヌやルーテシアなどとの共通性が見て取れる。
今回、ボディ寸法やパワートレインなどについての詳細は公表されていないが、商用のバン仕様に導入されるいくつかの新機構が明らかになっている。
まずは、イージー・サイド・アクセスと銘打たれたセンター・ピラー・レス構造で、側面開口部の前後長は現行型カングー・バンの2倍となる1416mmに達した。これは、クラス最大サイズだという。
次に、イージー・インサイド・ラックと呼ばれる、長尺物やボリュームのある荷物を高い位置に積める展開式のラック。これにより、積載スペースの高さを有効活用し、フロアを広く使うことができる。また、助手席は背面がフロアと一体になるよう前倒しすることが可能だ。
このほか、後方視認性を改善するデジタル・ルームミラーやトレーラー・スイング抑制機構、ブレーキを用いたスタビリティコントロール、先進的な緊急ブレーキ・アシストを新規導入する。
乗用モデルのカングーは5座仕様で、快適性や装備内容、運転支援装置のさらなる拡充が図られる。さらに、従来は商用バンにのみ設定されていたEV仕様が、乗用モデルにも用意されるという。フランスでの販売開始は2021年春を予定している。
またカングーの前身で、2代目ルノー5(サンク)の商用仕様にその名を残していたエクスプレスが、ふたたび独立車種として復活した。カングーより下に位置するモデルで、こちらもボディ・サイズなど詳細は発表されていないが、写真を見る限りカングーよりもひと回り小さく見える。荷室容量はエクスプレスのほうがやや少ないようだ。こちらもカングー同様、商用仕様と乗用仕様が設定され、カングーより小さく安価なモデルへの需要に応える。生産はモロッコ・タンジェ工場で行われる。
文=関 耕一郎
(ENGINE2021年2・3月合併号)
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