2021.07.03

CARS

維持が大変かもしれないけれど、たった2年の間に古いジャガーを2台持ちしたエンジン還暦編集部員の覚悟とは 「年齢と環境問題を考えるとラストチャンス 2匹の猫を飼います!!」

2019年10月に新車と見紛うばかりのジャガーXJ6を買った本誌アライがまたジャガーを買いました。セダンとオープン、カタチは全然違うけれど似ている2台です。

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ジャガーには縁がある

5.3リッターV12はとても滑らかで無粋な振動をまったく感じない。少し右足に力を込めるだけで、トルクが湧き出てスーッと加速する。街中を流しているぐらいでは、回転計は2000rpmを超えない。ソフトで浮遊感さえある乗り心地のせいか、大海原を船で進むような印象を持った。ただし、荒れた路面を通過するとあちこちからガタッ、キュッと音が出てボディのユルさを実感する。

1992年式ジャガーXJS V12コンバーチブル(以下XJSコンバーチブル)を横浜の中古車屋から引き取り、走り出したときの第一印象だ。2020年11月28日、XJSコンバーチブルを手に入れたことによって、私はちょっと古いジャガーの2台持ちになったのである。



もう1台のジャガーは2019年10月に購入した1987年式のXJ6シリーズIIIだ。まさか自分がこの2年の間にジャガー2台持ちになるとは想像していなかったけれど、こうして2台が並んだ姿を見ると、ジャガーには縁があるのかもしれないと思った。

1台目のジャガーの購入エピソードはこちら



初めてのガイシャ

遡ること40年前、ガソリン・スタンドでアルバイトしていた学生時代、初めて乗ったガイシャがジャガーXJ6のシリーズIIだった。それは懇意にしていたお客さんのクルマで、スタンドに愛車を預けることも多く、頼まれてもいないのにせっせと洗車をした。外装はシルバー、内装はバーガンディのレザーで、当時の国産車にはない貴族感あふれるインテリアに心酔した。

ジャガーXJ6のオーナーは学生の私を助手席に乗せて、食事にも連れて行ってくれた。「アルバイトが終わったら、きしめん食べに行こう」と言うので、XJ6に乗り込むと、なんと東名に入り名古屋まで行った。そんな型破りなところがある人だったので、私に愛車の運転を許した。

初めてXJ6で首都高速を走ったときのことはいまでも覚えている。速度を上げると頼りなくなる父のトヨタ・コロナとは違い、ますます路面に吸い付くようになっていく。そのしなやかでスポーティな乗り味に“ガイシャって凄いですね!”とオーナーに報告すると、「ジャガーが凄いんだからね」と笑われた。

ジャガーの思い出はもうひとつある。中学、高校、大学とずっと一緒だった同級生の西田純朗君だ。大学を卒業してからはずっと疎遠だったけれど、私が自動車雑誌の編集部で働いているのを知った西田君が連絡をしてきた。西田君も根っからの自動車好きで、とりわけジャガーは4台も所有するほど愛していた。

XJ6を買ったときに、あんまり嬉しくてミニカーやカタログをインターネットで買った。ちなみに、XJ6は当時のオースチン・ローバー・ジャパン、XJSコンバーチブルは当時のジャガー・ジャパンの正規モノである。

「アライもジャガーにしなよ」
これが私と会うたびの口癖で、特に「XJ6シリーズIIIの最終型を見つけたら絶対買え! 壊れないから大丈夫!」と言っていた。残念ながら西田君は2011年に他界してしまったけれど、シリーズIIIの最終型を個人売買で見つけたときは、あのときの言葉が蘇った。最近、いまXJ6のメインテナンスをお願いしているメカニックは、西田君の会社にいたことがあると知った。西田君がつないだのかもしれない。

XJ6は手元に来てからオルタネーター、エアコンのコンプレッサー、プーリーを交換している。個人的にはメインテナンスの範疇だと思っている。ジャガーだからというわけではなく、33年も前のクルマなのだから何かあって当然だ。本誌長期リポート車であるメルセデス・ベンツ300TE(1992)で、多くのトラブルを経験した。そして、大抵のことはどうにかなった。これがちょっと古いクルマを購入することへの抵抗を小さくしたようだ。

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