2021.04.10

CARS

エルメスのビスポーク・アトリエを訪ねる 夢をかたちに、クルマ版

新旧2台の伝説の名車

画面を通じて初めて見るアトリエの内部には、本当に様々なつくりかけのものが置かれていた。たとえば、プライベート・ジェットのシート。オーダーした顧客にこのアトリエまで足を運んで座り心地を確認してもらった後、仕上げをしてボンバルディア社に送り返し、飛行機に装着するという。実はこの顧客は過去にロールス・ロイスの内装もオーダーしており、同じ特注カラーのレザーに合わせられているのだとか。


あるいは、ビリヤードの台。英国のお屋敷の地下にあるプレイルームに置かれる予定のもので、エルメスとしては初めて手がけるプロダクト。木製の枠組みにステッチが施されたレザーが張られている最中だった。


そうかと思うと、革製の貯金箱なんていうのもあった。手のひらに乗るほどの大きさのかわいらしいブタのかたちをしている。


奥にはたくさんの種類のレザーの貯蔵庫がある。これまで手がけてきたビスポークのレザーはすべてストックしており、もし修理が必要になった場合に使うのだという。


そして、お目当ての2台のクルマの登場である。まずはヴォワザン。1920年代のC3をベースにしたと思われる一品もののスポーツ・モデルだ。レーシング・カーではないが、1922年に石畳の公道レースで当時のファクトリー・ドライバーだったアルチュール・デュレイらが運転して3時間43分33秒の記録で優勝した来歴があるようだ。なんとル・マン24時間レースがスタートする前年の話。そんなクルマが今でも存在し、しかも、エルメスのレザー内装を施され、こんなに美しい姿になって甦っているのだから、まさに夢の実現としか言いようがない。使ったのはバッファロー・レザーで、オープンカーゆえの耐候性も考慮してのことだという。それにしても、このクルマのフェンダーは幾何学的な平面になっており、いかにもヴォワザンならではの斬新なデザインで、それが自然な風合いのレザーと素晴らしく良くマッチしている。本当にこの時代にこんなカタチのクルマがあったのか、後でネットで調べてみたら、確かにデュレイが乗った写真が出てきてビックリ。実はこのクルマのオーナーはヴォワザンの有名なコレクターで、すでにエルメスへのオーダーは3台目なのだという。


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