2021.08.01

CARS

この路線で突き進め!! ポルシェ718ケイマン・シリーズに加わった軽量化版、Tに乗ってみた!

718ケイマンに注目モデル、軽量化版のTが登場したので早速借り出して試乗してみた。乗ったのはモータージャーナリストの島下泰久氏とエンジン編集部の3人。ある意味「問題作」のケイマンT、この手はアリです!!

若くてピチピチ、シャキシャキ

村上 718ケイマンT。問題作だな、これは。

荒井 これは若い、と思ったな。

塩澤 それは我々みんなが年取ったということなんじゃないの。

村上 いや、なるほどうまいこと言うなと今思ったのは、私も718ケイマン・シリーズはこの方向に突き進むしかないんじゃないかと思って、あらかじめタイトルを付けといたの。

島下 どういうことですか?

村上 だって、じっくり味わおうとか、そういう乗り味のクルマじゃないもの718は。私は987型のボクスターに16年乗っているけど、あれは街中のコーナーをゆっくり曲がっただけでその動きが気持ちいいし、ちょっとスロットル開けた時のエンジンの吹け上がり方だってウワーッて思うくらい気持ちいい。でも718はそういうものとは違う。もっと若くてピチピチ、シャキシャキ、プチプチしたクルマで、それをそのまま楽しむのには、このTは素晴らしく良くできていると思った。



島下 なるほどそうですね。自然吸気6気筒から4気筒ターボになり、やっぱり瞬発力勝負みたいなことになって、その時に同時にステアリングのギア比も速くなった。僕はそれがイヤだなと思ったんですが、そう思った僕も古いのかも知れない。もっとシャキシャキとガンガン行きたい人もいるわけじゃないですか。

荒井 そういう人のためのクルマだよね、718は。

島下 そもそも718の開発ドライバーを務めたのはニュルブルクリンクのレースにも出ている現役のレーシング・ドライバーで、そういう人がつくると味とか気持ち良さとか関係ない。曲げることと瞬発力しか考えていないんですよ。味とか言ったら、味でニュルが速く走れるんですか、とか言い返されちゃう。良くも悪しくも、718にはそういう方向性がハッキリ出ちゃったわけですよね。でも、世の中の人がそれを認めたかというと、やっぱり6気筒がいいという声が大きかった。

ツーリングを意味するTの文字がつけられたこのモデルの特徴は、走りをピュアに楽しむのに不要なものを極力省いた潔さにある。ドア・オープナーをレーシング・カーのような紐にするなど軽量化を図る一方で、約20mmローダウンしたPASMスポーツシャシーを採用。走りに磨きをかけている。

スポーツカーの原点

塩澤 だけど、ポルシェにしてみれば、さっきも話に出たキャラクター分けという観点からいくと、718を他のスポーツカーとどう差別化していくかということを考えたら、若くてシャキシャキしたスポーツカー入門用のモデルとして位置づけていくというのはあったんじゃないの。

村上 そうはいっても、結局、自然吸気6気筒のGT4とGTSを後から出しちゃったからね。乗ってみるとそれが本当に素晴らしい出来映えだった。逆に、その正反対に位置するものとして、今回このTが出たと考えると整合性があるように思う。4気筒ターボの718の方向性をより強調したクルマだよね、これは。

 シートはレザーとファブリックの組み合わせで、試乗車にはボディ同色のステッチなどが施されるインテリア・パッケージが奢られていた。



塩澤 僕はこのケイマンTの荒っぽさが好きだと思ったな。一緒に乗った4台が性能的にも価格的にも飛び抜けたものばかりの中で、このケイマンTだけがチープな、といっては語弊があるかもしれないけれど、ガラガラ音がするし、振動もあるしで他とは違っていた。でも、ポルシェのスポーツカーの原点はこういうところにあるんだなと素直に感じさせてくれるクルマだった。

島下 僕は行くならもっとやってくれないかと思いましたね。

村上 そうそう。もう最初のボクスター・スパイダーみたいにエアコンでもなんでもかんでも外して、とことん軽くしちゃったら面白い。

島下 ま、エアコンなかったら誰も買わないから、最低限のものは残して、あとはすべて外していい。

荒井 やっているのはドアを開けるヒモとリアの軽量ガラスだけでしょ。



一番欲しいかも


島下 見た目や音の演出としても、もっと省いている感があっていい。砂利道を走ったらバチバチ音がするとか、カーペット剥いだらすぐボディが剥き出しになるとかね。

村上 そもそも昔のTは省いた分、値段も安かったんだから、そうしてくれると有難いんだけどね。

島下 今のは逆に省いた手間賃の分だけ高くなっている。

村上 どうせならシフトもマニュアルを選んだ方がいいし、そんな仕様はないけど、ターボもはずして自然吸気4気筒だっていいんじゃないの。

塩澤 ほら、結局そうなるんですよ。みんなの意見を取り入れていくと、いま僕らが欲しいケイマンの姿が浮かび上がってくる。だからこのTの路線は間違ってはいないと思う。僕が今回、一番欲しいと思ったのはこれだったよ。

荒井 へえー、気持ちが若いねぇ。

話す人=島下泰久+村上 政(まとめも、以下ENGINE編集部)+塩澤則浩+荒井寿彦 写真=柏田芳敬

■718ケイマンT
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4379×1801×1276mm
ホイールベース 2475mm
車両重量 1410kg(前軸620kg:後軸790kg)
エンジン形式 直噴水平対向4気筒DOHCツインターボ
排気量 1988cc
ボア×ストローク 91.0×76.4mm
最高出力 300ps/6500rpm
最大トルク 350Nm/2150-4500rpm
トランスミッション デュアルクラッチ式8段自動MT(PDK)
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション(後) マクファーソン式ストラット/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ (前)235/35ZR20、(後)265/35ZR20
車両本体価格(税込み) 897万2000円

(ENGINE2021年7月号)

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