2021.07.08

LIFESTYLE

孤島に残された男2人の狂気を描く! 一筋縄ではいかない心理サスペンス「ライトハウス」にハマる

陰影の深いモノクロ映像に、現実とも妄想ともつかない禍々しいイメージの数々。2人の実力派俳優による緊迫感あふれる芝居も見事な、異色の心理サスペンスを堪能する。

『ライトハウス』は『ウィッチ』で世界的な評価を得たロバート・エガース監督の2作目に当たる。

時代は1890年代。冷たい雨風に晒されたニューイングランドの孤島に、歳の離れた2人の男が灯台守としてやってくる。ベテランのトーマスと新人のイーフレイムだ。だがトーマスは常に高圧的な態度でイーフレイムに接し、絶対に彼を灯室に入れようとしない。そして4週間の任期が終わろうとする前日、嵐が到来。完全に孤立した2人は狂気の世界に呑み込まれていく。



海に浮かぶ見知らぬ男の死体、灯室を這いまわる巨大な触手、岩場に寝そべる人魚……。実際の事件をベースにした作品ではあるが、全編にちりばめられたのは、現実とも妄想ともつかない異界のイメージだ。そこにはプロメテウスといったギリシャ神話の引用や、H・P・ラヴクラフトの怪奇小説などからの影響も窺うことができる。陰影の深いモノクロ映像や、昨今の映画では珍しいほぼ正方形の映像フレームも、2人の閉塞感を表していて効果的だ。

一筋縄ではいかない内容ながら、謎解きを求めて2度、3度と観たくなる。そんな中毒性のある作品である。







■『ライトハウス』 長編映画デビュー作『ウィッチ』(2015)でサンダンス映画祭のUSドラマ部門監督賞を受賞したロバート・エガースが、1801年に起きた事件からインスパイアされて弟のマックスと脚本を共同執筆。不穏な空気感が漂う、濃密な怪奇譚に仕上げた。孤島に閉じ込められた2人の男を演じるのはウィレム・デフォーとロバート・パティンソン。登場するのは全編ほぼ2人だけという、緊迫感溢れる芝居が見ものだ。なお本編で採用された正方形に近い映像フレーム(スタンダード・サイズ)は、かつてサイレント映画の時代に頻繁に使われていたものである。7月9日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー。109分。

文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINE2021年8月号)

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