2021.08.29

CARS

ゆるキャラにあらず! シトロエンC5エアクロスに加わったプラグイン・ハイブリッドは、第一級のグランドツアラーだ!!

プジョー3008、DS 7クロスバックに続き、C5エアクロスにもプラグイン・ハイブリッドが加わった。ほかの2台とは異なり前輪駆動を採るC5の乗り味はどうだったか。

最上級グレードの豪華仕様

薄目ライト(実はデイタイム・ライト)とボディ・サイドのエアバンプが特徴的なC5エアクロスSUVは、2019年に国内発売されたシトロエンにとって初めてのSUVである。導入当初は2リッターディーゼル・ターボのみだったが、その後1.6リッターガソリン・ターボが追加され、そして先日プラグイン・ハイブリッド(PHEV)も加わった。C5のPHEVは、1.6シャイン(420万円)や2.0シャイン・ブルーHDi(439万円)ではオプションのナッパレザー・シートや電動パノラミックルーフなどを標準装備した最上級グレードという位置づけで、価格は550万円となる。



プラグイン・ハイブリッドは既に導入されている同門プジョーの3008GTハイブリッド4と基本的に同じで(スペックは若干異なるが)、180psと300Nmを発生する1.6リッターターボに110psと320Nmのモーターを組み合わせている。3008のハイブリッド4はリアにもモーターを搭載する電動式4WDだが、C5はアイシン製EAT8をベースにトルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを採用した8段ATにモーターを内蔵したE-EAT8を組み合わせる前輪駆動である。システム総合出力は225psとかなり強力で、モーターアシストによる出足の鋭さだけでなく、シャープに元気よく回る1.6リッターターボを引っ張ると、ディーゼル・ターボに比べて約200kgも増えた1860kgの車重を感じさせない駿足ぶりを見せる。

たっぷりとしたサイズのレザー・シートやパノラミックルーフが標準装備。

後席はガソリン・モデル同様3席独立したスライド&リクライニング調節機構付き。

容量13.2kWhの駆動用リチウムイオン電池はリア・シート下に配置されるが、もともとPSAグループ内で広く使用されている「EMP2」プラットフォームはPHEV化を前提に設計されているために、室内スペースや荷室への影響は事実上なし。燃料タンク容量が小さくなっていること(52→43リッター)とラゲージルーム・フロア下のスペースが小さくなっていることが相違点だ。外部充電はヨーロッパ流で普通充電にのみ対応(200V/3kWの場合フル充電まで約5時間)、EV走行距離は65km、WLTCモードのハイブリッド燃費は16.1km/リッターと発表されている。ちなみにドライブ・モードは「エレクトリック」「ハイブリッド」「スポーツ」の3種類で、スポーツを選ぶとエンジン主体となるが、電力消費を抑えるセーブ・モードやチャージ・モードは備わらない。

デジタル・メーターは様々な表示スタイルを選べるが、正直どれもしっくりこない。

駆動用リチウムイオン電池はリア・シート下に搭載され、荷室への影響は事実上なし。

“ゆるキャラ”にあらず

個性的でファンキーなその顔つきから“ゆるキャラ”的な中身を想像すると、良い意味で裏切られるのがC5エアクロスだ。シトロエン自慢のPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)という、一般的なバンプストッパーの代わりにセカンダリー・ダンパーをチューブに内蔵した簡潔で巧妙なメカニカル・システムがC5エアクロスの特長で、柔らかくフワフワしたマジックカーペットライドというよりは、タフで頑健な脚まわりといった印象はこのPHEVモデルでも変わらない。舗装がひび割れているような路面ではやや細かな振動を伝えるが、入力が大きくなるほどフラットで安定した逞しさが光る。コンフォート性能をブランド価値の第一に掲げるだけあって、たっぷりとした座り心地の良いシートと相まって第一級のグランドツアラーとしての魅力は明らかだ。都会で暮らしながら、定期的に田舎の家に出かけるようなユーザーには実に合理的な選択肢ではないだろうか。



文=高平高輝 写真=宮門秀行

(ENGINE2021年9・10月号)

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