2021.09.09

CARS

簡単充電&スマホで決済の時代がやって来る EV のジャガーIペイスで一泊二日の福島・会津の旅へ 充電は大丈夫かぁ??


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到着した会津東山温泉の観光協会にあったのは、見た目はWeChargeステッカーを貼っただけの200Vの普通充電器だった。制御系のハードは配電盤内に収まるという。アプリを操作するとリモートで電源が入り、あっけなく充電がはじまった。巷の普通充電器は時間によって施錠されていたり、使用前に管理事務所を訪れる必要があるなど、使う側も運用側も何かと面倒が多いが、WeChargeはそうした手間が一切なく、24時間自由に使える。

なおケーブルは個々の車両用のものが必要。料金は都度払いのBASICプランでは自動車メーカーの充電カードの普通充電料と大きな差はないが、使用電力量に応じて4つあるプランを選べば支払いは抑えられる。WeCharge対応充電スポットは6月末時点で7カ所だが、2025年までにホテル、飲食店、商業施設、駐車場など全国5万カ所に設置を予定。東京ガスにWeChargeのプラットフォームを提供し、充電事業の共同推進も行うという。

EV普及には大容量の急速充電器が数多く必要と思われがちだが、設置も維持も高いコストがかかる。しかも補助金ありきの運営前提で、現状の時間制料金では回収できない、正しいエコシステムとは言い難いものだ。それなら多少時間がかかってもコストのかからない普通充電を、より簡単に使えるようにした方がいい。登録が面倒な都度払い型の旧来のものより使いやすい方がいいし、自動車メーカー提供の充電カードによるものより安価な方がいい。WeChargeは事業家としての白石さんの視点と、いちEVオーナーとしての視点の、両方があったからこそ産まれたといえるだろう。


全国に先駆け、会津若松ではじまった理由も明解だった。この地がスマートシティへの取り組みに熱心であることに加え、関東圏から約300kmと、Iペイスやモデル3、ポルシェ・タイカンやアウディe-トロンなど中長距離型のEVが余裕を持って走りきれる距離だからだ。滞在中にWeChargeを使えば、翌日分もちゃんと充電できる。89号車の場合は15時~翌11時で54kWhを充電し、ほぼ0→65%と、270kmほど走れる状態まで回復できた。

車両とコンセントを繋ぎ、スマホのWeChargeアプリで充電器のQRコードを読み取ると通電。あとは充電したい時間を選ぶだけだ(写真右下)。

「今どき“WiFi対応”でない宿泊施設はありませんよね。同じようにこれからは“EV対応”であることがお客様が安心していらっしゃるためのポイントになります」というのは会津東山温泉の原瀧・今昔亭の加藤勝美さん。昨今のEVへの関心の高さや訪れる人々の声から、WeCharge導入を決めたという。


さらにユビ電はこうした観光地などに加え、集合住宅へのWeCharge普及も進めている。居住者に代わり家主や管理会社と交渉を行い、普通充電器を設置。一戸建て住まいでなくともEVを満喫できるようにしたい、普通充電がもっと手軽になれば、EVの未来はもっと広がる、そう白石さんは考えている。

この1年、長期リポート車としてのIペイスの充電のベース基地は新潮社駐車場だった。長時間の普通充電ができる場所は自宅近隣になく、翌日に備えて急速充電器を探したり、新潮社へわざわざ出向いたこともあった。もしユビ電のサポートで自宅の駐車場でWeChargeが使えていたら、どれほど便利だったことか……。

とはいえ、エンジン編集部のIペイスのリポート期間はあとわずか。次回はいよいよ最終回である。福島からの帰路に立ち寄った磐梯吾妻スカイラインからの報告と、1年の総括をしたいと思う。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=山田真人 協力=ユビ電株式会社 会津東山温泉/原瀧・今昔亭

■エンジン編集部長期リポート89号車
ジャガーIペイスHSE

新車価格:1183万円
導入時期:2020年6月
走行距離:2万6093km(スタート時1万809km)

(ENGINE2021年9・10月号)

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