試乗はインストラクターの運転する先導車に続いて2台のSTOが連なって走る形式で行なわれた。乗り込んでみると、意外にも、見た目とは違って、ほとんどノーマルモデルと変わらないスポーティかつゴージャスな内装を持っていることにビックリ。シートも身動きができないようなレーシング・シートではなく、リクライニングまで付いた豪華なスポーツ・シートだった。エアコンの効きもバッチリで、これなら公道でも十分に使えるに違いない。ただし、バックミラーを覗いたら、巨大なシュノーケルのおかげで、ほとんど後ろは見えなかったが。
センターコンソールのボタンを押すと、迫力のある雄叫びを上げてペルフォルマンテより30ps高い640psの最高出力を持つV10に火が入った。あとは左のパドルを引いてギアをDに入れたら、まったく特別なこともなく発進した。コースに出てアクセレレーターを踏み込んで行くと、あっという間にレブリミットに達して、ギアがどんどん上がっていく。ステアリング下部にドライビング・モード切り換えスイッチがあり、STO、トロフェオ、ピオッジア(雨)の3つから選択できるのだが、この時のモードはデフォルトのSTO。あとで試してわかったことだが、トロフェオだと自動シフトしてくれないので、レブリミットを見きわめてリミッターに当てることなくシフト・アップするのが難しい。STOモードでアップは自動変速に任せ、ダウンだけパドルを使って自分でやるのが一番走りやすいようだ。
それにしても、驚くのは単に速いだけではなく、ペダルやステアリングの操作に対してクルマが間髪を入れずに反応し、しかも決してピーキーなものではなく、時々刻々と変化するクルマの状態が手にとるように伝わってくるから、コーナーでも直線でも素晴しく走りやすいことだ。良くできたレーシングカーとは、なるほどこんなにも気持ち良く速いものなのだろうか。直線ではなんと時速290km近いスピードが出ていた。それでも420kgのダウンフォースのおかげか、ビクともしない安定感がある。そこからのブレーキング時の安心感も、昔レースをしていた時に乗ったNゼロ車両とは大違いだ。むろん、さらにコーナーを攻め込んで行けば後輪駆動ゆえの難しさが顔を見せるだろうと思わせる場面もあったが、それにしても、この完成度の高さは最後を飾るにふさわしい。▶「ランボルギーニのおすすめ記事」をもっと見る文=村上政(本誌) 写真=ランボルギーニ・ジャパン■ランボルギーニ・ウラカンSTO駆動方式 エンジン・ミドシップ縦置き後輪駆動全長×全幅×全高 4547×1945×1220mmホイールベース 2620mmトレッド(前/後) 1688/1647mm乾燥重量 1339kgエンジン形式 90度V型10気筒直噴DOHC排気量 5204ccボア×ストローク 84.5×92.8mm最高出力 640ps/8000rpm最大トルク 565Nm/6500rpmトランスミッション 7段デュアルクラッチ式自動MTサスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/コイルブレーキ(前後) 通気冷却式ディスクタイヤ (前)245/30R20、(後)305/30R20車両本体価格(税込み) 4125万円(ENGINE2021年12月号)
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