2022.06.18

CARS

ポルシェの「RS」モデルとは、どんなクルマなのか? 991型の911 GT3 RSにニュルブルクリンク・グランプリ・コースで乗る!【ENGINEアーカイブス:ポルシェ911】

991型の911 GT3 RS

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雑誌『エンジン』に掲載された人気の記事をピックアップしてお送りする貴重なアーカイブ・シリーズ。今回は、2018年7月号に掲載されたポルシェの「RS」の記事のなかから、991型の911GT3RSがデビューしたときに行われた国際試乗会のリポートをお届けする。ニュルブルクリンクのグランプリコースで至福の8周を体験した。

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雨がやんだニュルブルクリンク

この日、ニュルブルクリンクのあるドイツ・アイフェル地方の空は、前日までずっと雨模様だったという話がウソのように晴れていた。その青空の下、史上最強の自然吸気フラット6を搭載する911に乗った。



初夏のニュルブルクリンクは天候が変わりやすいことで知られている。今年の24時間レースが行なわれた5月半ばの週末も、レースの行方を大きく左右する豪雨がこのサーキットを襲い、結果としてそれが総合優勝を遂げたポルシェにとっての恵みの雨となったことはご存じの通りだ。

しかし、私としてはその日だけはどうしても雨には降って欲しくなかった。24時間レースの2週間前の4月下旬、ニュルで開かれたポルシェの国際試乗会に参加した日のことだ。実はその前日も前々日もニュルの天候はすぐれず、ほかの国からやってきたジャーナリストの中には試乗がかなわずに帰った人もいたと聞いていた。それだけにこの日、朝から晴れ渡った空を見た時には、心から感謝したい気持ちになったものだ。

なにしろ、試乗するのは520psの4リッターフラット6を積んだ最新最強の自然吸気ポルシェ、911GT3RSなのだ。直前の4月16日にニュル北コースで記録したラップタイムは驚異の6分56秒4! これがどれほど凄い数字か。20.6kmのこのコースで7分を切るのは、ポルシェの市販車としては918スパイダーと新型911GT2RSに続く3台目。とはいえ、918は608psの4.6リッターV8に電気モーターを付加してシステム総合出力887psを誇るハイブリッド・スーパースポーツカーだし、GT2RSだって3.8リッターフラット6をベースにしているとはいえ、可変ジオメトリー付きのツインターボで武装して700psを叩き出すモンスター・スポーツカーだ。それに対してあくまで自然吸気フラット6に固執しながら918の6分57秒を僅かながら上回り、GT2RSの6分47秒3に9秒1まで迫ったところにポルシェのエンジニアたちの執念を感じないわけには行かない。素のカレラまでもがターボ過給となった今となっては、もはやスポーツカー界の絶滅危惧種ともいえる存在でありながら、それをとことんチューニングして、先代の991前期型GT3RSをなんと24秒も上回るところまでタイムを削ってきた彼らの努力には本当に頭が下がる。

それだけに、その実力をとことん味わい尽くせるような状況で乗りたいと思ったのだ。ドライの路面はそのためには必須のものだった。

試乗に使われたのは北コースではなく、1周5.148kmのグランプリ・コース。私はこれまで北コースは走った経験があるが、こちらは初めてだ。10の右コーナーと7の左コーナーを持ち、大きな高低差があるこの高速コースを、それぞれ8周する権利がジャーナリストに与えられた。試乗はインストラクターの運転する先導車つきで、その後を1台の試乗車が追走する。最初の1周はコース状況を見るための導入ラップ、次の3周が高速ラップ、そして一度ピットインしてクルマをチェックした後、再び3周の高速ラップ、最後にクールダウンして終了である。

シートはカーボン製のフルバケットでセンター部分がアルカンターラになる。
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