2021.12.11

CARS

変貌を遂げたその中身とは? 生まれ変わったスバルWRX S4のプロトタイプに初試乗!


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初めて見る新型WRX・S4は、私がかつて乗っていたレガシィとはまるで異なるデザインのクルマだった。共通するのはボンネットの上の巨大なエア・インテークくらいだろうか。今どき、ターボのインタークーラーをエンジンの上に置いているクルマは珍しいが、それはともかく、前後のフェンダーにしてもバンパーまわりにしても、なんだかゴテゴテと余計なものが付いた感じのデザインは、かつてのスッキリまとまったスタイルとはまるで違っている。今や北米が主要市場というから、米国人の好みに合わせたのだろうか。



運転席に乗り込んで、アッと声を上げそうになったのは、匂いが昔のレガシィと同じだったからだ。これは使っている接着剤か何かの匂いなのだろうか。懐かしい思いでまわりを眺めると、とても見やすい大きな2連メーター(ただし液晶)や、レカロ・シートなど昔を思い出させるものがたくさんあることに気づいた。

それに気をよくして試乗スタート。コースには現行型のWRX・S4も用意されていて、比較試乗できるようになっていたのだが、乗り出してすぐにわかる最大の違いは、ボディの剛性感が遥かに高くなっていることだった。これは新型レヴォーグでも採用されたスバル自慢のフルインナーフレーム構造の効果によるものらしいが、確かに凄い。音も振動も現行型より一気に小さく少なくなっているし、足回りもしなやかさを増して、乗り心地も良くなっている。



そして、もう一つ大きな違いはエンジンで、2リッターから2.4リッターへと排気量を上げながらも、パワー&トルクは逆に300psから275psへ、400Nmから375Nmへと抑えられていることだ。ターボの強烈な加速より中低速トルクを生かした穏やかな大人の走りを志向するモデルへと変貌を遂げていたのだ。GT-HとSTIスポーツRの二つのモデルにはいずれも電子制御でドライブ・モードを選べるスイッチが付いていたが、どれを選んでも、とてもバランスの良い走りを見せてくれるのは変わらず、逆に思わず笑い出してしまうような突出してキャラ立ちした走りを見せてくれることはなかった。

クルマは確かに良くなっている。でも、だからといってシンパシィを感じるとは限らない。どうせなら外見が昔のレガシィみたいに大人っぽくて、中身がインプレッサWRXみたいにヤンチャだったら良かったのに。いや、無いものねだりか。失礼。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬

■スバルWRX S4
駆動方式 エンジン・フロント縦置き4輪駆動
全長×全幅×全高 4670×1825×146mm
ホイールベース  2675mm
トレッド(前/後) 1560/1570mm
車両重量 1590-1600kg
エンジン形式 直噴水平対向4気筒DOHCターボ
排気量 2387cc
ボア×ストローク 94.0×86.0mm
最高出力 275ps/5600rpm
最大トルク 375Nm/2000-4800rpm
トランスミッション マニュアルモード付CVT
サスペンション(前) ストラット/コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 245/40R18

(ENGINE2022年1月号)

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