2022.01.02

CARS

4気筒電動スーパーチャージャーは300馬力を発揮! マセラティの新型SUV、グレカーレのプロトタイプにイタリアで試乗!!


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路面へのあたりが柔らかいのは、このエアサスペンションの効果によるところが大きいはずだが、そのいっぽうでフラット感も強く、乗り心地は極めて上質。タイヤが大入力を受け止めたとき、足回りに微振動が残らない点も乗る者に質感の高さを印象づける。ロードノイズが全般的に低い点も、グレカーレが織りなす洗練された雰囲気に相応しいものだ。

いっぽうでハンドリングは実に正確で、ステアリング操作に遅れることなくノーズの向きが変わる。リニアリティの高さも申し分ない。もっとも、こう聞くとステアリングの反応がシビアで神経質なハンドリングをイメージされるかもしれないが、切り始めのゲインをわざとらしく強調したタイプではないのでリラックスしてドライブできるのも事実。これもまた、グランドツーリスモを作り続けてきたマセラティに似つかわしい味付けといえる。

雑味感のないステアリング・フィールもやはり洗練されていて私好み。ただし、必要なインフォメーションはしっかりと伝えてくれる。路面が部分的に湿っていたこの日は、気温が低いこともあって非常に滑りやすく、試乗中にペースを上げていくとフロントが軽くアウトに逃げ出しそうな素振りを見せたが、そんなときは前輪の接地性が薄れていく様子が克明に伝わってくるので、アンダーステアに陥る前にスロットルペダルを緩めるなど適切な措置がとれる。これが絶大な安心感をもたらしてくれることはお察しのとおりだ。



300psを生み出す4気筒エンジンはどんな回転域からも力強いトルクを発揮する。しかも、48Vシステムを活用した電動スーパーチャージャーの効果でレスポンスも良好。絶対的なパフォーマンスを含め、何の不満も抱かなかった。

誤解を恐れずにいえば、こうした機械としての緻密さ、精度感はこれまでのマセラティの水準を上回るもの。そこで「グレカーレの完成度は、ジョルジョ・プラットフォームなしには実現できなかったのではないか?」と車両評価担当のフェデリコ・デ・メディオに訊ねたところ、こんな答えが返ってきた。

「軽量、高剛性といった部分でジョルジョ・プラットフォームが貢献しているのは事実です。ただし、それは単なる始まりに過ぎません。私たちはこのプラットフォームを大幅にモディファイすることで、マセラティらしい快適性とビークルダイナミクスを実現したのです」

MC20を生み出し、電動化を強力に推し進め、グラントゥーリズモとグランカブリオのフルモデルチェンジを間近に控えたマセラティ。グレカーレの目を見張るような仕上がりは、今後に向けて彼らが並々ならぬ意欲を燃やしている何よりの証拠といえるかもしれない。

文=大谷達也 写真=マセラティS.p.A.

■マセラティ・グレカーレ・プロトタイプ
駆動方式フロント・エンジン縦置き4輪駆動
全長×全幅×全高 未発表
ホイールベース 未発表
トレッド(前/後) 未発表
乾燥重量 未発表
エンジン形式 水冷直列4気筒 DOHC ターボ
排気量 2.0リッター
最高出力 300ps
最大トルク 未発表
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エアスプリング
サスペンション(後) マルチリンク/エアスプリング
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 255/45R20/255/45R20
車両本体価格 未発表

(ENGINE2022年2・3月号)

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