2021.12.30

CARS

外も凄いけど、中も凄い!! BMW iシリーズがフルモデルチェンジ! 

シティ・コミューターのi3とハイブリッド・スポーツカーのi8に続く第2世代のBMW iシリーズがいよいよ日本にやって来た。さっそく試乗した最上位モデルのiXは、はたしてどんなクルマなのか。エンジン編集部のウエダがリポートする。

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まるでロールス・ロイス!?

BMW iXは、日本ではi3以来のBEV(Battery Electric Vehicle)だ。i3は内燃機付きのレンジエクステンダーもあったが、これからのiモデルは全車BEVである。今後i4などiの後が数字のみならクーペやサルーン、iX3などXが入ればSUVとなる。数字のないiXは旗艦SUVという位置づけで、サイズはX5に近く、全長4995×全幅1965×全高1695mmと、X5より65mm長く、40mm狭く、75mm低い。シャシーは内燃エンジン車のX3と共用するiX3などと異なりBEV専用だ。BMWの後輪駆動車用のアルミとスチール複合のCLARプラットフォームが元で、サイドシルからA、Bピラーの途中まで一体のカーボン・パネルが貼られている。



i3やi8も近未来的な造形だったが、iXも負けていない。巨大なダミー・グリルや2段構造のコンソールなど、内外装の仕立ては斬新だ。ただし、ガラス・エリアの上下ラインをCピラーで集約させる、iならではのデザインは踏襲している。

試乗したiX xDrive50は前258ps/365Nm、後313ps/400Nmを発揮するモーターを2機搭載。システム出力は523ps/765Nmで、変速機は1段固定。エアサスと4WSが標準装備となり、試乗車はオプションの22インチ・ホイールを履いていた。車検証上の車両重量は2560kg。バッテリーは床下に敷くが後席下にのみ2段積みで、115.5kWhと大容量ながら、アウディやテスラといったライバルに対し価格は1116万円と、競走力はかなり高い。



短時間の試乗だったが、車体の剛性感の高さや後ろから蹴り出す感覚が強いところ、ワンペダル・ドライブとまでは行かないが常に回生感を感じる走行感覚は、i3に似ている。回生の度合いは4段階+ワンペダル・モードがあり、色々試してみたが、回生を最弱にし、ドライブ・モードをスポーツにすると、まるでロールス・ロイス・カリナンみたいだと思った。BEVゆえに静かで滑らか速いのは当然だが、大きく重いものを動かしている、ということはちゃんと伝えつつ、身のこなしがスムーズかつ自由自在。ステアリングを切り込んでいった時のロールやノーズの入り方も、滑らかでまったく違和感がなく、2.5トン強の巨体でも、昼下がりの混んだ首都高速をすいすいと狙った通りのラインをトレースできた。

iXはこれまでのiらしさを活かしつつ、大きく進化を遂げた新世代のSUVだと、僕は思う。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也



(ENGINE2022年2・3月号)

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