2022.01.02

CARS

これぞ有名店の看板メニュー ソフトトップに替わったBMW4シリーズ・カブリオレに乗った

縦長の大きなキドニー・グリルが特徴的な新しいBMW4シリーズにカブリオレが登場した。高出力の3.0リッター直6ガソリン・ターボ・エンジン、4輪駆動、これまでのリトラクタブル・ハードトップからソフトトップに変更されたオープン・ボディなど、伊達で贅沢、だけど洗練されている最新世代のプレミアム・スポーツに高平高輝氏が試乗した。

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運転支援装置もバッチリ

渋滞の首都高速をハンズオフ走行中、渋谷ランプからアルファのジュリアが元気よく(むしろぶしつけに)目の前に合流してきた。もちろん念のためにちゃんと備えていたが、視野角の広い3眼カメラにミリ波レーダーも備えるBMW M440i xDriveカブリオレは、すかさず合流車を感知して減速、しかもデジタル・メーターの中央には横から割り込む車のアイコンが強調フレームとともにタイムラグなく表示されていた。うーん、最新世代のプレミアム・カーに乗っている感じムンムンである。



大谷選手のようだ

M440iは7年ぶりにモデルチェンジした4シリーズ・カブリオレの(M4を除く)トップ・モデル、新型はリトラクタブル・ハードトップからファブリックの電動ソフトトップに戻されたが、やはりこちらの方が伊達で贅沢な雰囲気だ。



さらに今や贅沢な直列6気筒3リッター・ターボ・エンジンに8段AT、しかも電子制御4WDのxDrive搭載の4シーター・カブリオレである。文字通り何から何まで揃っているエリートなスポーツカーだ。387ps/5800rpmと500Nm/1800-5000rpmを生み出す直6ターボは、渋滞の中でもフル加速中でも本当に滑らかにかつ強力に応えてくれるし、どの回転域でもまったく無理している感じを伝えないのが凄い。軽く振っているように見えて大ホームランを打つ大谷選手のようだ。



お金持ち喧嘩せず

当然価格は1089万円と大台に乗っているが、それ以外は何の不満もない。いや価格も十分に納得できるものだ。それでもあえて些細な不満を挙げてみると、例によってハムみたいに太いリムのMスポーツ・ステアリングホイールと、Mパフォーマンス・オートモビルゆえの19インチの太いランフラット・タイヤぐらい。とはいえ、乗り心地はアダプティプMサスペンションを備えるにしてはとげとげしくなく、不整路での低速走行を除けば滑らかだ。スピードが増せばビシリと引き締まって、文句なしに安定したフラットライドとなる。



いわゆるADAS(運転支援装置)やインフォテインメントシステムは最新型だが、それでもBMWはiDriveコントローラーをはじめ、必要となる各種の物理スイッチを依然残している点が嬉しい。すべてタッチディスプレイの中に納めたタイプと比べて使いやすさは雲泥の差がある。直6ターボ搭載の新型4シリーズ・カブリオレは有名店の看板メニューみたいに、奇をてらわず、まったく安心だが、きわめて高レベルで洗練されている。豪華高性能とお金持ち喧嘩せずを絵に描いたようなカブリオレである。

運転支援装置は限定状態でのハンズオフ走行も可能な最新型。

文=高平高輝 写真=宮門秀行

(ENGINE2021年9・10月号)

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