2022.01.14

CARS

GRの本気FRスポーツ、GR86に3人のモータージャーナリストが試乗!!


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村上 それがGR86に生まれ変わって、スポーツカーとしての本質は変わっていないにしても、大きく変わったものもありますよね。

山本 目的がハッキリして、私はFRスポーツですっ、と明確にアピールするようなものになった。もしかしたら、嫌いになる人も出てしまうかもしれないけど、好きな人はおいで、という明確なメッセージを発信しているように思います。とにかくスポーツカーをみんなに好きになって欲しい、という感じでつくっていた初代とは違い、86を好きになって欲しいとアピールしている。とりわけ、今回のBRZと86を比べてみると、BRZが総合的なバランスを整えているのに対して、86はある意味トガッているところがあるけれど、それにハマる人にはたまらないというものに仕立ててあると思いますね。

先代の2リッターから2.4リッターに排気量が拡大された自然吸気フラット4は、中低速トルクが太くなって扱い易くなると同時に、高回転域の吹け上がりの気持ち良さも増し、大きく進化した。

村上 正直、普通の公道で乗っている時には、BRZの方が安心感みたいなものは強いよね。でも、86の方が、サーキットなんかで攻めていくと、その先にもっと面白い世界が開けていくのかなという予感がある。

山本 なんかワクワクするような感じは、86の方が強いですよね。

村上 だから、袖ヶ浦のサーキットで乗った時にも、直線走っている時はBRZいいねって思っているんだけど、インフィールドに入ってちょっと曲がる楽しみを味わえるところになると、オッ、86なんだか面白いぞ、という感じになっていく。

山本 乗ってみると色々な意見が出るじゃないですか、そういう話ができることも、スポーツカーに乗る楽しみのひとつなんだと思うんですよ。

村上 それって、スペックだけじゃなく、思想というか、なにか目指しているものが明確にあるからこそ、いろいろな論評ができるんだろうね。

佐藤 メルセデスだってBMWだって、乗ったら絶対にそのブランドのクルマだなっていう乗り味があるじゃないですか。それがGRになってハッキリ見えてきたんだと思います。

山本 トヨタってどうしても万人受けにならざるを得ない面がありますが、GRはそうじゃないよ、好き嫌いがあっても結構、というノリでやってきているのだと思います。

すべてが運転に集中することができるようにデザインされた86のコクピット。水平基調のインパネは、車両姿勢の変化を掴みやすいからだという。

村上 それともうひとつ、今度の86になって、ずいぶん乗り味が大人っぽくなったように思ったんだけど。

島下 それはどういうところが?

村上 先代は、高速道路を走っていても、いろいろなところからカシャカシャと雑音が聞こえてきたりした。

島下 アッ、それは僕も許せなかったところです。楽しいけど普段使うのにちょっと、という感じがあった。

村上 でも、今度のは大人がGTカーとして使うのにもいい。

島下 機械として断然良くなっていますよね。走りもヤンチャといえばヤンチャだけれど、破綻しているわけではない。初代86が出た時には、誰でもドリフト出来ますと言っていたけれど、あれってリアの限界が落とされているだけだった。今度のもリアが出せるクルマだけれど、安っぽくリアがスライドしちゃったというものではなく、アクセル操作で自在にコントロールできるような対話性がある。同じようだけれど、この10年の蓄積でクルマづくりの質が格段に上がったのだと思います。

佐藤 86はニュルでのレースはもちろん、日本でのワンメイク・レースもあるから、いろいろなフィードバックを得られる。それが新型に生かされているのも大きいでしょうね。

話す人=佐藤久実+島下泰久+山本シンヤ+村上政(エンジン編集部、まとめも) 写真=柏田芳敬



■GR86 RZ
駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4265×1775×1310mm
ホイールベース 2575mm
トレッド(前/後) 1520/1550mm
車両重量(車検証) 1270kg(前軸700kg、後軸570kg)
エンジン形式 直噴+ポート噴射水平対向4気筒DOHC
排気量 2387cc
最高出力 235ps/7000rpm
最大トルク 250Nm/3700rpm
トランスミッション 6段MT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 215/40R18
車両本体価格(税込み) 334万9000円

(ENGINE2022年2・3月号)

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