ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)は、新しいミドシップのスポーツカー、「T.33」を発表した。F1マシンの開発などで知られるゴードン・マレーが立ち上げた少量生産メーカーのGMAにとって、2020年8月に発表された「T.50」に続く2車種目のスーパー・スポーツカーだ。
エアロパーツを最小限にしたクリーンなデザイン
T.50ではボディ後端に配した送風機(ファン)を用いた空力制御で話題を呼んだが、T.33ではパッシブな境界層制御技術をエクステリアに盛り込むことで、エア・ブレーキとしても機能する可動式のリア・スポイラー以外の空力付加物(エアロパーツ)を用いないクリーンなデザインを実現した。それでも、一般的なスーパー・スポーツカーより空力効率は30%ほど勝るとのことだ。

ライバルよりも300kgほど軽い
ボディ・サイズは全長4398×全幅1850×全高1135mm、ホイールベースは2735mmT.50と比べると全長が50mmほど長く、車高が30mmほど低い。また、ホイールベースは35mm延長されている。カーボンとアルミコア入りカーボン・パネルを組み合わせたボディは高い剛性と乗員保護性、そして1090kgという軽い車両重量に寄与する。この車両重量はオール・カーボンのT.50よりも100kgほど重いが、フェラーリやランボルギーニなどのライバルと比べると300kgほど軽く仕上がっている。

機能優先のシンプルなインテリア
インテリアはT.50の中央に運転席を配した3座レイアウトではなく、オーソドックな2座を採用。ステアリングの位置は左右とも用意される。デザインはシンプルで、複雑なメニュー操作で集中力を削ぐようなタッチパネルは用いていない。運転に集中できるよう、方向指示器の操作スイッチをカーボンファイバーのステアリングホイールへ組み込むなど、余計な要素を削ぎ落としている。
メーターは中央に120mm径のアナログ式のエンジン回転計、その左右に情報ディスプレイとダイヤル式スイッチを配置。また、フロント・フード下と後輪前の左右ロッカー部に合計280リッターの積載スペースを設け、実用性も確保している。

最高回転数は11100rpmの4リッターV12を搭載
エンジンはコスワースと共同開発した「GMA.2」こと3994ccの65度V12で、単体重量は178kg。最高出力は615ps/10500rpm、最大トルクは451Nm/9000rpm、最高回転数は11100rpmに達する。トルクは2500rpmで最大値の75%、4500〜10500rpmで90%を発生。564ps/tという馬力荷重比は、ゴードン・マレーが1990年代に製作した「マクラーレンF1」をも凌ぐという。
トランスミッションは英国の名門サプライヤー、エクストラック製。標準搭載の6段MTは82kg、オプションの自動クラッチ化されたパドルシフト式ギアボックスは、スーパーカー用の変速機では世界最軽量とされる78kgだ。リア・ミドシップで後輪を駆動するこのパワートレインは応力担体としても機能する構造だが、独自の傾斜軸シアーマウント(IASM)と防振マウントにより、キャビンのNVH対策も十分になされている。
生産台数は100台で、価格は137万ポンド(約2億1235万円)。生産は2024年初頭に開始される予定だ。

文=関 耕一郎
(ENGINE WEBオリジナル)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
いますぐ登録
会員の方はこちら