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2022.04.15

CARS

これぞ現代の完璧なオープン・スポーツ　BMW・M4カブリオレ・コンペティションM・xドライブに5人のモータージャーナリストが乗った！【2022年エンジン輸入車大試乗会】

ENGINE編集部

BMW M4 カブリオレ コンペティション M xドライブ

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続いてのインプレッションは、今尾直樹、菰田 潔、塩見 智の3名。中でも、直後に乗ったケータハム・スーパーセブンというある意味対極の存在と比較した塩見の試乗記は、最もM4カブリオレの本質を捉えているのかもしれない。

月並みですが「ボカァ、幸せだなぁ」と感じられる／今尾直樹

幌が開いたままだったので、そのまま西湘バイパスに向かった。M4カブリオレの空力と空調、シート・ヒーターは完璧で、ひんやりした冬の空気が心地よい。3リッター直6ツイン・ターボは510psと650Nmを発揮し、0-100km／h3.7秒とモーレツに速い。M4カブリオレ初の4WDということもあって、高速走行はきわめて安定している。前275／35ZR19、後ろ285／30ZR20のミシュランは、超扁平ならではの、いかにも正確なインフォメーションをドライバーに伝えてくる。それでいて、可変サスペンションはツーリングカーを思わせる快適な乗り心地を維持し、アクセルを開ければスポーツカーの雄叫びをあげる。左に湘南の海を見ながら、ゆったり流していると、太陽が顔を出した。キラキラ輝く海。冬の日差しを浴びながら、月並みですが、「ボカァ、幸せだなぁ」と思った。小田原出口が工事渋滞で、10分ほどその場にとどまることになった。額が暑くなり、幌を閉じようかと迷っていたら、いつの間にかまた曇ってきた。人生は儚い。M4カブリオレは移ろう時を知らせ続ける。



おしゃれなオープンカー、長距離ツアラーとしての顔もある／菰田 潔

サーキットを走るクルマで一般道も走れるのがBMWのMモデルだが、試乗車はなんとカブリオレ。しかもエンジンは最高出力510ps、最大トルク650Nmにパワーアップしたコンペティションだ。いくら4輪駆動のM xDriveでも4座のオープン・ボディではその走りが心配だった。しかし走り始めた瞬間から、桁違いにしっかりしたボディ剛性によってその走りが保証されていることを実感させられる。ハンドル応答性はニュートラルからほぼ遊びなく、微小操舵からバシバシと反応。Mモデルそのもののダイレクトさで、ハイスピードのサーキットも充分にこなせることは想像できる。M4クーペより直進性が強く感じるのはMxDriveの効果が出ているのだろうか。高速道路を使って長距離ドライブするなら、疲れず楽に移動できそうだ。4枚の窓を開けて西湘バイパスを駆け抜けると、頬に気持ちの良い風を受けつつ、Mモデルらしいエンジン・サウンドが耳に届く、気持ちの良いドライブが満喫できる。Mモデルという顔以外に、おしゃれなオープンカー、長距離ツアラーとしての顔も魅力だ。



すべてが盛り込まれたオープン・スポーツの現在／塩見 智

このクルマのすぐ後にスーパーセブンに乗った。その時に初めてM4カブリオレの位置づけを理解できた気がした。昔からなんにも変わっていないセブンがあそこまで楽しいということは、スポーツカーの本質である走らせる喜びの頂点を、我々はそのオリジナルであるロータスセブンが生まれた1950年代にすでに獲得していたことになる。あるいはもっと昔に得ていたかもしれない。ともあれセブン登場から60年くらいたって登場したM4カブリオレは、走らせる喜びが可能な限りブーストされていて、それを多くの人が安全に引き出すための最先端の電子デバイスの数々が付与された。そればかりか完全な耐候性と空調をはじめとするパーフェクトの快適性まで盛り込まれた。M4カブリオレこそ、オープン・スポーツが“いま、ここ”まできたという代表例だ。セブンの時代のエンジニアに最大限の敬意を表するが、同時に彼らと当時のクルマ好きに対し、現代のエンジニアとそのプロダクトを自慢したい。大声じゃなくても隣と会話できるし、スイッチひとつで走行しながら開閉できるんだぜ！

iDriveコントローラーをはじめ、各種の物理スイッチを残す一方、BMWが国内認可取得モデルとして初めて導入したハンズ・オフ機能を搭載する。直列6気筒3リッターターボに8段AT、電子制御4WDのxDriveを組み合わせる。

写真＝神村 聖（メイン）／郡大二郎（サブ）

（ENGINE2022年4月号）

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