2022.04.13

CARS

ドロ臭くないカジュアルなジープというのもイイじゃない! ジープ・コンパスに5人のモータージャーナリストが乗った【2022年エンジン輸入車大試乗会】

ジープ・コンパス・リミテッド

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続いて、藤原よしお、山田弘樹、斎藤慎輔のインプレッション。心地いいや気持ちいいといったコメントが多数を占めるが、中でも斎藤はシートの素材にまで注目しその独特の乗り心地の良さを語っている。

この内容でアンダー500万円とは。これはお値段以上!/藤原よしお

見た目は小さなチェロキー。全長なんかウチの先々代Cクラスより短い4420mmしかないのに、全高が1640mmもあってアイポイントが高いので、まるで2クラス上の大型SUVに乗ってるような優越感を味わえる。しかもステアリングが軽く、癖がなく、十分パワフルなのですごく運転しやすい。乗り心地はオフローダーほどゴツゴツしてないけど、サルーンほど大人しくもなく、程よくワイルドで、元気よく走る。一方マイチェンで刷新されたインパネはダッシュにドーンとレザーが張ってあるし、真ん中に大きなタッチスクリーンはあるしで、とっても豪華で今風で上質。この見せ方は本当に上手いなぁと感心。インフォテイメント環境は最新だし、衝突被害軽減ブレーキや360度ビューカメラなど運転支援システムもてんこ盛り。後席も広いし、荷室も広くて使いやすそう。えっ? 試乗した最上級グレードで4WDのリミテッドでも各種装備まるっと標準装備でアンダー500万円(2WDのスポーツなら369万円だって、驚き)なの! これを「お値段以上!」と呼ばずしてなんと呼ぼうか!



速くはないがシャキシャキした操作感が気持ちいい/山田弘樹

このちっちゃなチェロキーに乗ると、いつも“なんだかいい気分”になる。搭載されるエンジンは日本仕様だとディーゼルや小排気量ターボがなく、自然吸気の2.4リッター直4のみ。しかもその出力は175ps/229Nmだから、車重1600kgの今回試乗した4WDモデル「リミテッド」だと、お世辞にも速いとは言えない。しかしその高いアイポイントのコクピットからハンドルを切ると、引き締められた足まわりが踏ん張って、シャキシャキした操作感が気持ちよい。初速さえうまく付けば高速巡航でも、4WDとは思えないほどタイヤをうまく転がしてクルーズするし、街中では穏やかなエンジン特性と、頑丈なボディの組み合わせが心地良く、「クルマって、これでいいんだよな」という気持ちにさせてもらえるのだ。アーバン・ジープを割り切るなら、車体が軽く加速も一段元気なFFモデルもいい。そのスターティング・プライスは受注生産だが一番ベーシックな「スポーツ」だと299万円! 充実装備の「ロンジチュード」でも346万円と、輸入コンパクトとしてはコスパも抜群だ。



イイじゃないと思わせる、土臭さを抑えた都会派ジープ/斎藤慎輔

インド製だそう。そうか、左側通行の国だから。えっ、と身構えるのはそれこそ偏見でした。造り、仕立ても、よく出来ています。それだけじゃなく、しっかりアメ車らしいペタッとした感じの本革表皮に、独得のしんなりふんわりとしたシートの着座感。これがなんとも心地いい。フランス車のシートとも違った優しさを持って迎えてくれます。その乗り味はそのまま、インテリアは超モダン。よくぞマイチェンでここまで全面変更したもの。しっかり視覚的広さ感までものにし、ジープの中でも、土臭さを抑えた都会派SUVの雰囲気を見事に醸しています。今回乗った最上級のリミテッドだけが4WDで、他グレードはFFということからも、ホコリまみれ泥まみれの走りに主眼を置いていないことはたしかながら、これまた今どき珍しい自然吸気の2.4リッターエンジンが、ゆったりとトルクを持ち上げていく感覚が心地よく、そんな特性とマッチした穏やかでいながら意外にも正確性の高いハンドリングとともに、これいいじゃない、と思ってしまう。ジープ・ブランド、けっこう奥が深いです。



写真=神村 聖(メイン)/柏田芳敬(サブ)

(ENGINE2022年4月号)

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