2022年上半期の注目モデル34台を大磯プリンスホテルの大駐車場に集め、38人のモータージャーナリストがイッキ乗りした恒例の大型企画、エンジン大試乗会。マイナーチェンジによって特にインテリアが大幅に刷新されたジープ・コンパスには、武田公実、石井昌道、藤原よしお、山田弘樹、斎藤慎輔の5人のジャーナリストが試乗した。スマートな印象を持つジープブランドでは珍しい存在
2021年、マイナーチェンジを受けたコンパクト・ジープ、コンパス。2.4リッター直4エンジン(175ps、229Nm)には手が加えられず、エクステリアとインテリアが見直された。FFとオンデマンド4WDの2車種があり、FFは6段AT、4WDは9段ATが組み合わされるというのも従来通りである。ジープといってもドロ臭さがなく、スマートな印象を持っている。全長×全幅×全高=4420×1810×1640mm。ホイールベース=2635mm。車両重量=1600kg(リミテッド)。スポーツ、ロンジチュードの2グレードはFF、リミテッドは4WDとなる。車両価格はスポーツが369万円、ロンジチュードが438万円、リミテッドが492万円。

心地よく付き合っていけるジープならではの愛おしさ/武田公実コンパスに乗り込み「START」スイッチを押すと、現代のモデルとしては妙な懐かしい、実直な内燃機関らしい音と振動に身を包まれる。箱根ターンパイクの登りでは、エンジンのうなりにスピードが比例しない。また、カーブの曲率やスピード域を問わずグラリとロールして、とても攻める気にはならないハンドリングなども、かなり前時代的といえる。さらに言うなら、ATセレクターやウインカー・レバー、スイッチ類の操作感がカチャカチャとチープなことなど、重箱の隅をつつけば気になることはいくらでもある。でも、それがJeepというブランドを掲げているとプラシーボ効果のように幻惑されるのか、すべてがいとおしくさえ感じられてしまう。現在のSUVでは、ともすれば不自然にもなりやすいアシストも散見される傍らで、コンパスのカジュアルでナチュラルな乗り味は、アメリカ車ならでは、あるいはJeepならではと感じる。「愛車」として心地よく付き合っていける愛すべきキャラには、電動化時代となってもJeepにはこうあり続けてほしいと思わせるものがある。
NAでも力不足を感じないマルチエアエンジン/石井昌道ジープといえばラングラーが代表格なのは言うまでもなく、日本でも一世を風靡したグランドチェロキーにはいまでもそれなりの神通力があり、エントリー・モデルのレネゲードもキャラが立っている。それに比べるとコンパスは今ひとつ存在感が地味に思えてしまうが、Cセグメントの輸入SUVが(2021年12月に値上げしてしまったとはいえ)369万円から買えるのだから注目すべきモデルだ。エンジンはいまとなっては輸入車では珍しいガソリンのNA。2.4リッターで、世界トップレベルの動弁技術であるフィアット・グループ自慢のマルチエアが採用されている。その効果もあるのだろう。低回転域のトルクはしっかりとあってターボや電気に慣れた身でもドライバビリティに不足を感じない。回転上昇とともにパワーがリニアに盛り上がってくる自然な感覚が気持ちいいぐらいだ。乗り心地はいい意味で緩い。ドイツ車などのガッチリ感とは真逆で路面の凹凸に合わせてボディが揺らぎながら走っていくが、不快でも不安でもなく、不思議と落ち着いた気分で快適に過ごせるのだ。
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