2022.04.21

CARS

歴史的大変貌を確実な進化に活かす! シボレー・コルベットを5人のモータージャーナリストが試す【2022年エンジン輸入車大試乗会】

シボレー・コルベット・コンバーチブル

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続いてのインプレッションは松田秀士、大井貴之、藤野太一の3人。先代モデルと比較した進化度合いと、コルベットが持つ独自の魅力をそれぞれの言葉で表している。

明らかな大幅進化だが、あのテイストは健在/松田秀士

ミッドシップになったコルベット。ほとんどの欧州スーパースポーツがミッドシップ化するのにアメリカン・スーパースポーツにミッドシップが少ないのはなぜ? そんな疑問をずっと抱いていた。でも、ビッグトルクの大排気量OHVエンジンを搭載したFRコルベットに乗るたびに、やっぱりアメリカンはこうでなくっちゃ! と妙に納得していたものだ。だからコルベットがミッドシップ!? という噂を聞いてもピンとこなかった。しかし、ベールを脱いで、初めてエクステリアを見た時、これは乗らなくちゃ! と血が騒いだものだ。そして実際に乗ってみると、まずコクピットがスゴイ! ドライバーに向けた計器類や操作類。まるで航空機のコクピットのようだ。スターターをプッシュすると背中で吠えるV8 OHV。そう、ミッドに搭載されても、あのアメリカンV8は健在だった。大排気量OHVらしいフリクションを感じさせない吹き上がり。走り始めればストローク感のあるサスペンション。エンジンといい足回りといい、明らかに大きく進化している。でもしっかりとあのテイストが残っている。



ミドシップ化してもコルベット流は不変/大井貴之

左ハンドル・オンリーだったコルベットに右ハンドルが登場したことはミドシップ化の恩恵の一つと言えるかもしれないが、年寄り的にはFRでも左ハンドルでもないコルベットに大きな違和感を感じてしまう。だが、それもエンジンを始動するまでの話。6.2リッターのV型8気筒OHVが目覚めた瞬間、細かい話はどうでも良くなった。コルベットだ! 全てドライバーのためだけと感じさせるコクピットは、大きなトランスミッションに室内スペースを占領されていたFR時代を知るユーザーに違和感を感じさせないためのデザインに違いない。何より驚くのはその走り。エンジン始動の瞬間、クルマが動き出した瞬間、どこにも緩さを感じない。西湘バイパスの巡航も一般道でのストップ&ゴーもジェントルにこなす。箱根ターンパイクのワインディングとなると、乗り心地に配慮したと思われるブッシュ&マウント類のソフトさが気になってしまうシーンもあったが、逆に言えばヨーロッパ勢を追いかけているわけではないコルベット流。今となっては自然吸気V8を搭載しているだけでも充分な価値だ。

未来的とも思えるコクピットはドライバー・オリエンテッドの考え方が貫かれている。質感も先代に比べて向上した。右ハンドル仕様のペダル・レイアウトに違和感はない。バケット・シートは掛け心地、ホールド性ともに抜群だった。

高性能ぶりに見合わないプライスにシボレーの底力を見た/藤野太一

コルベットがミドシップになった。その理由は諸説あるようだけれど、初めて噂を耳にしたのは2017年のことだった。その年、ポルシェはWEC用のマシン、911RSRを伝統のリア・エンジンの搭載位置を少し前にずらしてミドシップにする策をとった。ル・マン24時間で勝利するためにリア・ディフューザーを大型化しての空力性能向上は必須で、いずれはライバルのコルベットもそうなるだろうという話だったと記憶している。それが現実のものになった。ミッド化の恩恵で、右ハンドル仕様まで用意されている。インテリアはモダンの一言。車体前半部分が短く、取り回しがしやすい。ボディ開口部が小さいからルーフをオープンにしても剛性の低下を感じない。もし目をつぶっていれば、コルベットともアメリカ車とも判断がつかないかもしれない。受け継がれた伝統的なものといえばプッシュロッド式の大排気量V8エンジンで、自然吸気ならではの気持ちよさは健在。しかし、これほどの高性能モデルに1250万円(クーペ)という値付けができるシボレーというブランドの底力を見た感じがする。



写真=柏田芳敬(メイン)/郡 大二郎(サブ)

(ENGINE2022年4月号)

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