2022.04.27

CARS

マセラティ史上最速セダン! ギブリ・トロフェオに5人のモータージャーナリストが試乗!【2022年エンジン輸入車大試乗会】

マセラティ・ギブリ・トロフェオ

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続いてのインプレッションは西川 淳、武田公実、小川フミオの3人。中でも、V6では味わえないスポーティ感の中にラグジュアリー感をも持ち合わせているという武田の試乗記は、トロフェオの意外な一面が見られて興味深い。

走り出した瞬間からぐいぐい引き込まれる/西川 淳

2013年デビューというから9年目に入った。今さら驚くようなクルマじゃない、なんて侮っていたら驚かされた。V8を載せたトロフェオは3代目ギブリで最強なのはもちろん、最良のグレードだ。正直いうとこれまでのギブリには常に「何か1つ物足りない」感じが付きまとっていた。クールでカッコ良いスポーツ・サルーンなんだけれど、今ひとつドライビングに没頭できないというか。トロフェオは違う。走り出した瞬間からぐいぐい引き込まれる。このクルマにはV8がベストマッチだ。V6メインのクルマに無理やり突っ込んだように思われるかもしれないが、実はそうではない。そもそもギブリは先代クワトロポルテに迫るサイズのサルーンで、現行のクワトロポルテはそのロング版みたいなものだから、ボディサイズ的に言ってV8の方がギブリにとって相性は良い。ようやく身の丈にあった強力な心臓を手に入れた。V8の響きもまたマセラティらしい。願わくはこのテイストをもうしばらく持ち続けて欲しいものだけれど、残念ながらラスト・チャンスになりそう。お早めにどうぞ!



間違いなく速い! でもラグジュアリー/武田公実

3代目ギブリにようやくV8版が追加され、しかもグレード名は起源を四半世紀前のワンメイク・レースにまで遡る「トロフェオ」と聞けば、当然ながらかなりホットなキャラクターになるかと思いきや、実際に乗ってみると間違いなく速いながらもジェントル。先行のV6モデルが、アクセルを踏み込むとちょっと露悪的な咆哮を披露するのに対して、V8版のサウンドは拍子抜けしてしまうほどに大人しい。またハンドリングと乗り心地のバランスについても、同じRWDのV6版から80kgの重量増が、特にノーズに集中していることを反映してだろうか、コンフォート志向が色濃く感じられた。

つまり「ギブリ・トロフェオ」という勇ましい名に惑わされるものの、実質的には先代クワトロポルテのような、パーソナル性の高いラグジュアリーサルーン。BMWに喩えるならば、M5よりもアルピナB5に近いキャラクターを目指したという印象が強い。そして、エンジンの存在感をことさらに強調しない味付けは、来るべき電動化時代へのスムーズな移行を模索した結果とも思われた。



4ドアのフェラーリと言いたくなる絶妙なチューニング/小川フミオ

マセラティ、完全復活。走り出したとたんに破顔してしまうほど、すばらしくパワフルで、かつスポーティなハンドリングなのだ。

マセラティ、かつては、エロいジャガー、というかんじだったが、今回のギブリ・トロフェオは4ドアのフェラーリ、と言いたくなる。2020年8月にオンラインで発表されていらい、評価は高かったようだけれど、私が乗ったのは今回が初めて。長生きはするもんだと、ちょっとオオゲサだけど嬉しくなった。427kW(580ps)の3.8リッター V8はフェラーリのマラネロ工場で組まれているのがセリングポイント。ただし、それがすべてではない。これまでだって、フェラーリで作られたエンジンを、マセラティ車は搭載してきた。大事なのは、サスペンションとステアリングを含めたシャシーのチューニングなのだと、つくづく思う。とくにドライブ・モードで「スポーツ」を選択すると、そこらのスポーツカー顔負けというかんじのダイレクトな操縦感覚が堪能できる。そうそう、レヴァンテもいい。V6もいい。ようするに、いまのマセラティ、どれもいい。

クラシカルな雰囲気の内装には、オプションのカーボン・インテリアが絶妙にマッチする。カーボンパーツが多用されているトロフェオだが、エンジンカバーもカーボン製で、その奥に赤く塗装されたヘッドが垣間見える。

写真=柏田芳敬(メイン・サブともに)

(ENGINE2022年4月号)

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