2022.04.26

CARS

300馬力の過激なFFをMTで操る快感! ルノー・メガーヌR.S.トロフィーMTに5人のモータージャーナリストがイッキ乗り!【2022年エンジン輸入車大試乗会】

ルノー・メガーヌR.S.トロフィーMT

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2022年上半期の注目モデル34台を大磯プリンスホテルの大駐車場に集め、38人のモータージャーナリストがイッキ乗りした恒例の大型企画、エンジン大試乗会。ルノー・メガーヌの最速グレードであるR.S.トロフィーのMT仕様に、清水草一、清水和夫、生方 聡、岡崎五朗、九島辰也の5人のジャーナリストが試乗した。

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6段MTはトロフィーのみに設定される

メガーヌ R.S.の日本仕様は通常版のR.S.とR.S.トロフィーの2グレードで、基本は2ペダルのデュアルクラッチ式の6段自動MTだが、R.S.トロフィーにのみ6段MTの設定がある。1.8リッター直4ターボの最高出力は全モデル300ps /6000rpmだが、最大トルクは2ペダルが420Nm/3200rpmなのに対し、3ペダルは400Nm/3200rpmになる。シャシー・セッティングも通常のR.S.が“シャシー・スポール”なのに対し、R.S.トロフィーはよりハードコアな“シャシー・カップ“となる。マフラーはいずれもメカニカル・バルブ付きで走行モードの切り替えでサウンドを変化させる。全長×全幅×全高=4410×1875×1465mm。ホイールベース=2670mm。車両重量=1460kg。車両本体価格=494万円(スペックはすべてR.S.トロフィーMT)。



思わず手に汗握ってしまう。これだよ、これ!/清水草一


現行型のメガーヌ R.S.が登場した時、「MTはもう出ません」と言われ、ひとつの時代の終わりを感じ涙したが、時代は逆流しているらしい。ポルシェ911に続いて、メガーヌ R.S.にもMTが帰ってきた。「トロフィー」という名のトロフィーとともに。

5ドアのスタイルと右ハンドルだけは、守旧派カーマニア的にやや不満だが、このクルマの変速機が6段MTであるというだけで、シアワセの絶頂に達してしまう。レカロシートの古典的なホールド感の高さにも絶頂。1.8リッターターボの300馬力に絶頂。サスペンションはしなやかにハード、本物感ビンビンで絶頂。段差ではゴツンとくるけど芯はまろやかだ。

セルフ・センタリングが異様に強いハンドリングは、普通に流しているだけでやたらと手強いイメージを抱かせる。シフトダウンしてアクセレレーターを床まで踏みつければ、トルクステアでステアリングが持っていかれる感も合体し、思わず手に汗握ってしまう。これだよこれ! メガーヌ R.S.はこうじゃないと!

インテリアにおける通常版のR.S.とR.S.トロフィーの違いは主にシート。R.S.はシートヒーター内蔵のスポーツ・シートだが、R.S.トロフィーは写真のアルカンタラが貼られたレカロ製のバケット・シートが標準装備となる。

速さと日常使いを両立したホットハッチの王様/清水和夫

このモデルはどうみてもホットハッチの王様だ。ファミリーカーの代表的なFFハッチバックをここまでホットに走らせた例は、ミニJCWを除いて記憶にない。パワー・ウォーズに明け暮れるドイツ車をよそ目に、フランス車はサスペンションで勝負する覚悟を決めたのが2011年頃だったか。その流れでルノー・メガーヌ R.S.はFFでニュルブルクリンク8分の壁を破った。私はインプレッサの2リッターターボAWDモデルで8分を切ったことがあるが、まさかFFで8分を切るとは驚きだった。速さを手に入れたメガーヌ R.S.だったが、一般道では少しヤンチャなキャラクターが目立ち、日常的には使いにくいところもあった。ニュルブルクリンクの速さと日常的な使いやすさを両立することは、最近のポルシェを見ても成功のシナリオだろう。ということで、一般道とワインディングで最新のメガーヌ R.S.の走りをチェックすると、びっくりするくらい乗り心地がいい。とくに高速道のつなぎ目の小さな段差は気が付かないほどしなやかだ。エンジンも素直で、サーキットの狼というキャラクターは返上したのである。


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