2022.05.21

CARS

風を受け、陽射しを浴びよう! 幌を開けていざ出発! モーガンで行く遠州の伝統文化に触れる旅【前篇】 

モーガン・プラス・フォーでグランドツーリング

全ての画像を見る

新東名を制限速度の上限で巡航すると、前後左右からの風が縦横無尽に身体をもて遊ぶ。でもキャップを深く被ってサングラスで目を守り、革のグローブをつけてしまえば、寒さも風も意外となんとかなる。直進性は上々だ。どーんとそびえる長いノーズが常に視界にあって、やや重みのあるステアリングを回すのに呼応してそれが右へ左へと動く様を見ていると、これを操っているのは自分なんだぞ、ということを強く認識させられる。そこがまた、いい。

advertisement


旅のお供をしてくれたモーガン・プラス・フォーの6段MT仕様。脱着式の窓は専用ケースに入れ座席後方へ。ここには飛行機内持ち込み可能な小ぶりのスーツケースもぴたりと収まる。たとえ幌を上げても隙間風が入るがシート・ヒーターは良く効く。


借り出したモーガンは6段MT仕様だが、環境に配慮した現代のメカニズムを流用しているから、ハイ・ギアードすぎて追い越しの時など、6速から5速、さらに4速と落としても、2リッターのBMW製ターボ・ユニットの反応は眠い。けれどシフトの下のS+と書かれたスイッチを押すと、にわかに目を覚ます。最高出力の258馬力こそ変わらないが、発生回転数は4400回転に下がり、最大トルクは35.7kgm/1000~5000回転から40.8kgm/1000~3000回転へ。アクセレレーターへの反応は段違いにツキがよくなり、6速100km/h巡航時の1200回転からでも、小気味よく、ぐぐーっと加速する。シフト・ダウンが待ち遠しい。クラシカルな装いに油断しているまわりのクルマが驚くくらいの身のこなしで、ずばっと横を駆け抜けていく。

岡崎東ICで一般道へ下りて30分ほど走り、蒲郡市内を抜けて三ヶ根山スカイラインへ。いやはや、ここへ来るのは何年ぶりだろう。アップダウンがきつめな上にタイト・コーナーも多い、走りがいのある道だ。

こういう場所でかつてのモーガン乗りは、腕だけでなく上半身全体を使って、やや曖昧で重いステアリング・フィールを探りながら格闘をしたものだ。でも、現代のプラス・フォーは角度だけでなく前後方向もステアリングの位置調整ができるし、アシストもあり手のひらへのフィードバックは正確だから、自在に操ることができる。ただしメカニズムは近代的でも、基本の走行マナーが昔のままなのがいい。長いノーズの反応は俊敏というほどではないが、ちょうどいいスポーティさで、操舵に少し遅れて身体がぐっと外側へ振り回される感覚がやって来る。1650mmといまどきのスポーツカーよりずっと幅は狭いから、車線をいっぱいに使い、フロント・フェンダーの嶺を白線に沿わせるようギリギリのところを探りながら、コーナーをクリアしていく。



頂上の駐車場には、見晴台ができていた。夜はライトアップもされるようだ。けれど、そこからの眺望そのものは、なにも変わっていなかった。眼下の西浦温泉。湾内の三河大島とうっすら見える渥美半島。間をいくタンカーは、豊橋港に向かう自動車運搬船だろうか。

やや雲行きが怪しくなって来たのに気づいて、慌てて蒲郡市内へ戻る。そこから海沿いを抜け、先ほど遙か遠くに見えていた渥美半島へ。

(モーガンの旅は、後篇に続く)

■モーガン・プラス・フォー
駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 3830×1650×1250mm
ホイールベース 2520mm
トレッド(前/後) 1492/1492mm
車両重量(前後重量配分) 1070kg(前軸530kg:後軸540kg)
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1998cc
最高出力 258ps/4400rpm
最大トルク 40.8kgm/1000-4300rpm
トランスミッション 6段MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後) ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ(前後) 205/60R15
車両本体価格 1221万円


文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=山田真人/ふもとの工務社 取材協力=まろや/ふもとの工務社

(ENGINE2022年5月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement