2022.06.10

CARS

「ポルシェ911が運転席の思い出なら、日産スカイラインは助手席の思い出」という言葉に人生がつまっている 元プロ・スケーターの八木沼純子さんにとってのクルマとは

愛車のBMW320iツーリングと八木沼純子さん

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クルマ好きのゲストを迎え、「これまでに出会ったクルマの中で、人生を変えるような衝撃をもたらしてくれた1台」を聞くシリーズ。今回は、戦後の冬季オリンピック女子代表選手としては最年少の14歳で、代表に選ばれた八木沼純子さん。銀盤に舞うポニーテール姿を覚えている。子供の頃からクルマとは深い関わりがあり、大好きなもののひとつだ。

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クルマは母と話をするところだった


筒井カメラマンがレンズを向けると、八木沼純子さんは恥ずかしそうに少しうつむいた。カメラと勝負するように対峙する著名人を多く見てきたせいか、はにかむような姿はとても新鮮に感じられた。

ポージングする所作はとても上品で、彼女をいっそう美しくしている。爽やかな笑顔とベージュのニットが辺りを明るくしている。無機質なビルの吹き抜けに春の風が通っていったような気がした。



北京で開催された冬季五輪の解説をテレビで観た人も多いだろう。八木沼さんは、1980年代から90年代にかけて活躍したフィギュア・スケート選手である。リンクに初めて立ったのは5歳だった。

「品川プリンスホテルのなかにスケートリンクがあって、そこの幼児教室に入りました」

本格的に選手を目指したのは、小学5年生のとき。そこからは朝練をしてから学校へ行き、そのままリンクに戻って午後11時すぎまで練習するという日々が続いた。

「母がクルマで送り迎えをしてくれました。当時、私にとってクルマとは母と話をするところでした。助手席や後席でしたけれど、本当にクルマにはよく乗っていたんです」

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