2022.06.10

CARS

「ポルシェ911が運転席の思い出なら、日産スカイラインは助手席の思い出」という言葉に人生がつまっている 元プロ・スケーターの八木沼純子さんにとってのクルマとは

愛車のBMW320iツーリングと八木沼純子さん

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憧れのポルシェ911

言葉の端々に運転好きであることが窺える八木沼さん。スケートのエッジに乗ってリンクの上に弧を描いたり、慣性モーメントを最小にしてスピンしたりジャンプしたりしていたのだから、運動エネルギーを感知するセンサーは優れている気がする。

そんな八木沼さんのもとにやってきたのが、本人がずっと憧れていたポルシェ911だ。

「子供の頃からずっと憧れていました。ミニカーを持っていて(笑)。ネットで検索したり、中古屋さんに探してもらったりして、とうとう手に入れたんです996型の911を」

ボルボV40から乗り換えたポルシェ911は、想像通り素晴らしいクルマだったという。

「着座位置が低くて地を這う感じ。ステアリングはちょっと重めなんですけど、それはスカイラインで慣れてました。運転しているときのクルマとの一体感が楽しいんです。運転しているという感覚を強く感じるというか。やったあ! とうとう自分もポルシェに乗れた! とすごく嬉しかったです」

ポルシェ911が来てからは、リンクとの往復だけでなく、箱根や軽井沢にドライブにも行ったという。

家族みんなの使い勝手がいいように、現在はBMW320iに乗っている。実用性と運転の楽しさを両立させたチョイスだろう。純白のボディは、清楚な八木沼さんによく似合うと思った。

これまでの人生のなかで最も印象深いクルマはスカイラインですか? それともポルシェ911?

「う~ん。両方ともすごく印象深いですね。ただ、スケートの競技生活をともにしたのは、スカイラインです。スカイラインでの最も印象的な出来事は運転のことではなくて、母のことです。中学3年のときにジュニアの世界選手権に連続で出ることが決まったんです。クルマのなかで母が“良かったね。あなたがここまでやるとは思わなかったけど、もっと違う世界がある。ここからが勝負だと思うよ”と、真面目に諭すように声をかけてくれました。それまでは細かい点や改善点にはコーチよりも厳しいこともあったと思います。中学3年のジュニア世界選手権で表彰台に上がれたのは、そんなことがあったからかもしれません」

ポルシェ911が運転席の思い出なら、日産スカイラインは助手席の思い出なのかもしれない。いずれにしても、濃密な時間がクルマとともにあった。八木沼さんにとってクルマとは、そんな時間を過ごしてきた“相棒”だ。もちろん、これからも。

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文=荒井寿彦(本誌) 写真=筒井義昭 スタイリング=日置 彩 ヘアメイク=住本由香

八木沼純子/14歳という若さで、フィギュア・スケート五輪代表に選出される。スピンの美しさを武器に、その後も数々の国際大会に出場した。大学卒業とともにプロに転向し、18年にわたってアイスショー「プリンスアイスワールド」に出演。長くチームリーダーを務め、スケーティング・ディレクターを担当後、現在は広報大使として携わっている。また、スポーツ・キャスターとしても活動し、オリンピックの解説なども務めている。現在、明治神宮外苑アイススケート場でインストラクターとしても活動中。

八木沼純子
14歳という若さで、フィギュア・スケート五輪代表に選出される。スピンの美しさを武器に、その後も数々の国際大会に出場した。大学卒業とともにプロに転向し、18年にわたってアイスショー「プリンスアイスワールド」に出演。長くチームリーダーを務め、スケーティング・ディレクターを担当後、現在は広報大使として携わっている。また、スポーツ・キャスターとしても活動し、オリンピックの解説なども務めている。現在、明治神宮外苑アイススケート場でインストラクターとしても活動中。


(ENGINE2021年6月号)

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