歴史と伝統の重みも重要だが、常に挑戦を続けることもまた肝要。だからこそファンはその時計のデザインに心を奪われ、機能に夢中になる。そして気になりだすと、見えないことがもっと知りたくなる。「どうしてこのデザインが誕生したのか」、「どのように作られているのか」、「どのような歴史を辿ってきたのか」――。時計には製作者やブランドの想いが込められたストーリーがあり、知れば知るほど虜になってしまう。そんな素敵なショパールの魅力を紹介しよう。
アルパイン イーグル フライング トゥールビヨン
L.U.C 96.24-Lは、3.3mmの薄型にストップセコンド機能を備えたフライングトゥールビヨンを搭載し、クロノメーター認定とジュネーブシールを同時取得する。マイクロローターはその動きを遮ることもない。アルプスの氷河を想起させるアレッチブルー文字盤に、耐久性と輝きを両立した独自のスティール合金が映える。自動巻き。ルーセント スティール A223、ケース直径41mm。1422万3000円(今夏発売予定)。
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「サンモリッツ」の特徴である8本のスクリューで留められたベゼルデザインを踏襲。スタイリッシュな一体型ブレスレットのリンクは険しいアルプスの岸壁を思わせるのだ。
洗練と技術で磨きをかけて、ファミリーが紡ぐ叙事詩
「アルパイン イーグル」は、ショパールの歴史に刻まれたショイフレ家の物語である。その誕生には時計の針を40年以上戻す必要があるだろう。当時22歳で家業に就いていた現共同社長のカール-フリードリッヒ・ショイフレ氏は、父カール・ショイフレ氏に新たなスポーツウォッチを進言。それが1980年に誕生した「サンモリッツ」だ。そしてさらに時代は移り、長男カール-フリッツ氏は、父の作った「サンモリッツ」を見て、ぜひこれを現代的に再解釈したいと提案したのだ。当初は難色を示したショイフレ共同社長だったが、かつての自分を重ね合わせたのだろう。こうして2019年に「アルパイン イーグル」は完成したのである。
だが3世代に渡る物語はこれで終わらない。記念すべき初の自社キャリバー、L.U.Cウォッチは今年誕生25周年を迎え、その薄型フライングトゥールビヨンを採用した。L.U.Cは、ショイフレ共同社長が指揮したブランドのマニュファクチュール宣言であり、現在のウォッチメイキングの礎といえるだろう。自身が手がけた技術を注ぐことで、「アルパイン イーグル」はいよいよコンプリケーションという新たな扉を開いた。それは今後も受け継がれ、物語はやがて壮大な叙事詩になるに違いない。
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問い合わせ=ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922
文=柴田充 写真=近藤正一
(ENGINE2022年8月号)
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