2022.07.27

WATCHES

正統派複雑時計の佇まいが光る「A.ランゲ&ゾーネ」の新作

かつての「ジュネーブSIHH」と「バーゼルワールド」の主役級ブランドが一堂に会し、今年はリアルで開催された世界最大の時計フェア「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2022」。「ワンダーズ」という言葉に象徴されるように、数々の時計には新たな発見と驚きがいっぱいだ。

シリーズ第3弾は「A.ランゲ&ゾーネ」。時計ジャーナリストの菅原 茂氏とENGINE編集部時計担当の前田清輝がその魅力を解説する。

ありそうで実はなかった正統派ミニッツリピーター

今年のA.ランゲ&ゾーネは少数ながら、デザインの細部をアップデートした「グランド・ランゲ1」、チタンケースをまとった新しい「オデュッセウス」、そして「リヒャルト・ランゲ・ミニッツリピーター」など、粒よりの新作を揃えた。完全な新作という点で最も興味深いのは最後のミニッツリピーターである。懐中時計のようなクラシカルなデザインがなにより印象的で、リピーター機構自体も伝統に即し、革新的な十進式リピーターで知られる「ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター」とは異なる、正統派複雑時計の佇まいが格別な魅力を放っている。




リヒャルト・ランゲ・ミニッツリピーター
ケース左のスライドボタンを任意に操作することによってハンマーがゴングを打ち、時刻を時、クォーター(15分)、分単位の音で告げる伝統的なミニッツリピーター機構を搭載するが、自社製ムーブメントは最高品質を誇る逸品。19世紀の懐中時計に通じる「リヒャルト・ランゲ」のクラシカルなデザインも味わい豊か。手巻き。72時間パワーリザーブ。プラチナ、ケース直径39mm。世界限定50本、ブティック限定。価格要問い合わせ。9月発売予定。


オデュッセウス
2019年にデビューした「オデュッセウス」コレクションに仲間入りしたチタン仕様の新しいモデルは、軽快な素材による装着感とアイスブルーカラーのダイアルが相まって、以前にも増してスポーティな印象を高める。自動巻き。ケース直径40.5mm、12気圧防水。世界限定250本。ブティック限定。価格要問い合わせ。6月発売予定。

菅原 今までブランドが発表したミニッツリピーターは、デザインも機構も特殊な「ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター」と「グランド・コンプリケーション」。しかし、ファンからの熱烈な要望があったのだろうか、奇をてらわず正攻法で作った正統派ミニッツリピーターが登場したのは驚き。やはり、この複雑機構と相性がいいのは伝統的なデザインということかな?

前田 A.ランゲ&ゾーネにおける唯一のスポーティモデル「オデュッセウス」がケースにチタンを採用したが、個人的にはダイアルのアイスブルーに心惹かれた。淡いブルーは昨今、最も人気のあるカラーの代表格だが、チタンケースとの組み合わせが絶妙だ。他のモデル同様にシックな佇まいは、思わず見惚れる美しさだ。

文=菅原 茂/前田清輝(ENGINE編集部)

(ENGINE2022年7月号)
※価格は雑誌掲載時のものです。

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