2022.08.16

LIFESTYLE

「日日の料理 びおら」茶道・武者小路千家に生まれた母と娘がプロデュース 家庭料理を通して知る“茶の湯の心”

「いなりやNOZOMI」の「桜海老寿司」をアレンジした「桜海老ちらし」

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千利休が作った茶懐石の原型は季節のものを生かした簡素な料理だと伝わる。その流れを汲む料理と、格式張らない気軽な雰囲気。双方の要素を備えた、新しい和食店が誕生した。

母の料理を伝えていく

「日日の料理 びおら」は、料理研究家の後藤加寿子さんと、次女のすみれさんが開いた和食店。武者小路千家十三世家元有隣斎と茶懐石料理研究家・千澄子さんの長女である加寿子さんは、自身の料理教室や著書を通じて茶懐石の文化を長年伝えてきた。その姿を見て育ったすみれさんが、母の料理を伝えていく店としてプロデュースしたのがこちら。



「今は野菜料理といえばサラダという時代ですが、“和え物”のような失われつつある家庭料理を次世代に繋げたい」と語る加寿子さんが監修するメニューには、例えば夏は「長茄子といんげんの胡麻和え」「とうもろこし天ぷら」「鱧と淡路玉ねぎのすき焼き」など、旬の食材を生かした親しみやすい料理が並ぶ。

実はこうした料理の背景には、茶懐石の考え方がある。茶懐石というと季節感溢れる盛り付けの少量多皿のコースを連想しがちだが、「茶懐石は茶事の主催者である亭主が来客をもてなすために作る料理で、見えない部分に手間暇をかけた究極の“ケ”の料理なのです」とすみれさん。メニューには加寿子さんがこれまでの活動を通じて出会った人々から受け継ぐ「桜海老ちらし」「精進ラーメン」も並び、ユニークな彩りを添えている。

文=小松めぐみ(フード・ライター) 写真=古田登紀子





(ENGINE2022年9・10月号)

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