2022.09.09

CARS

フェラーリ296GTBより75kgも軽い! マクラーレン・アルトゥーラをスペインの公道とサーキットで試乗!!

マクラーレン・アルトゥーラ

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マルチリンク式に改められたリアサスペンション

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一般道を走ってまず印象に残ったのは、サスペンションの精度がさらに高まったように思えた点。これまでがあいまいだったというつもりはないが、サスペンション・ブッシュのゴムのたわむ動きがわずかながらも感じられたのは事実。しかし、アルトゥーラでは金属パーツだけで足まわりが構成されているかのような、シャキッとした印象が強まった。それなのに、路面からのゴツゴツ感を遮断する性能はむしろ向上していたのだから恐れ入る。結果として、マクラーレンらしい快適性をベースとしながら、よりスッキリして心地いい乗り心地に進化していた。これはダブルウィッシュボーン式だったリア・サスペンションをマルチリンク式に改めた効果だと、チーフ・エンジニアのジェフ・グローズは語っていた。



等間隔爆発を実現したV6エンジンは、同じ形式のフェラーリ296GTB同様、驚くほど滑らかな回転フィールをもたらす。ただし、強力なモーターを武器に、ときに爆発的なパワーを発揮する296GTBに比べると、アルトゥーラのパワートレインはあくまでも従順で扱い易い。また、急な上り坂をEVモードで走ったときにはややパワー不足にも思われたが、これはクルマ全体のバランスを優先し、比較的コンパクトなモーターを採用した結果だと、パワートレイン開発担当のリチャード・ジャクソンから説明を受けた。いたずらに最高出力を追求せず、あくまでシャシーとのバランスを重視した点もマクラーレンらしいところだ。なおアルトゥーラの乾燥重量は1395kgで、296GTBを75kg下回っている。

ワインディング・ロードでは、もはやマクラーレンのDNAといっても過言ではない電動油圧式パワー・アシストを採用したステアリングが路面の様子を克明に伝達。そしてリア・サスペンションが強靱なグリップ力を発揮し、驚くほど高いスタビリティを発揮した。新たにEデフを採用した点もアルトゥーラの特徴だが、その利きは穏やかで、わざとらしい点がないのもやはりマクラーレンらしいと感じた。

シャシーの圧倒的なスタビリティ性能はサーキットでも変わらず、テールをスライドさせようと試みても、ついにリア・グリップを1度も失わせることができなかった。見た目の派手さではなく、あくまでも技術と実質を重んじる。すべてが新しいアルトゥーラは、マクラーレンの伝統を完璧に守り切ったハイブリッド・スーパースポーツカーでもあるのだ。

文=大谷達也 写真=マクラーレン・オートモーティブ



■マクラーレン・アルトゥーラ
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン+モーター後輪駆動
全長×全幅×全高 4539×1913×1193mm
ホイールベース 2640mm
トレッド(前/後) 1650/1613mm
車両重量(DIN) 1498kg
エンジン形式 水冷V型6気筒DOHCツインターボ+モーター
排気量 2993cc
最高出力 585ps/7500rpm+95ps
最大トルク 585Nm/2250-7000rpm+225Nm
トランスミッション 8段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
(後) マルチリンク
ブレーキ(前後) カーボン・セラミック・ディスク
タイヤ(前/後) 235/35R19/295/35R20
車両本体価格 2965万円

(ENGINE2022年9・10月号)

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