2022.10.27

CARS

ライバルのハリアー、エクストレイル、ZR-Vとどう戦う? 直6エンジンで挑む新型マツダCX-60の気になるデキをチェック!

マツダCX-60 XDハイブリッド・プレミアム・スポーツ

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すべての要素が新しい

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マツダ曰くの「ラージ商品群」にあたるこの企画の骨子は、スカイアクティブテクノロジーのそれと同じだ。現在発表されているぶんでいえば、少なくとも4つの大型モデルを一括企画、それに合わせてすべての要素技術を新開発している。

ラージ商品群の最大の特徴はプラットフォームのFR化だ。これに合わせてドライブトレインは縦置き搭載でも足元のスベースを蹴らないトルコンレス、クラッチ変速の小型8段ユニットを内製で新開発。併せてこちらも新開発のトランスファーと組み合わせることで、ドラポジに影響しない四駆システムを実現している。



エンジンは新たに3.3リッターの直6ディーゼル・ターボを開発。こちらはいってみればスモール群となる従来のFF系プラットフォームにも合わせられるよう、2.2リッター4気筒とのモジュラー設計となっている。このディーゼル・ユニットには48Vのスタータージェネレーターを組み合わせたMHEVも用意される。一方のガソリン・ユニットは2.5リッター4気筒を縦置きで搭載するほか、このエンジンをベースに駆動用モーターを組み合わせ、327ps/500Nmのアウトプットと共に、最長63kmの航続距離を実現する(数値はプロトタイプスペック)PHEVも設定。こちらは欧米市場での展開がメインと目されているのだろう。

他3つのパワーユニットの販売が年末になるのに先駆けて、この9月15日に発売したのが48V MHEVディーゼル。全グレード4WD+20インチ大径タイヤの組み合わせとなる。

ドイツ御三家とも戦える

CX-60の車格は数値的にはBMWのX3にほぼ並ぶ。この先、恐らく3列シートパッケージも搭載されるロングボディのCX-80が日欧向けに企画されているほか、米国市場向けにはさらに幅側にも広いCX-70&90が用意される予定だ。

この、まだ見ぬアメリカ向けモデルとの兼ね合いもあってだろうか、CX-60のシルエットはスクエア感がやや強く、マツダが大切にしてきた秘めたる抑揚感の表現にやや窮屈さを感じなくもない。カウルと前軸の間に据えられたマスコットには誇らしげにインライン6のロゴが配されるが、ちょっと既視感があるなぁと思い起こせばユーノス・コスモの「3ローター」に重なった。

ナビ画面左上のカメラで運転手の目の位置を検知し、適切な運転姿勢を割り出し自動調整するドライバー・パーソナライゼーション・システムも装備。

対して内装は今までの鬱憤を晴らさんがばかりに伸び伸びとしている。大きなセンターコンソールが縦置きFR系車台であることを示しながらも、造型そのものは正統で質感も操作性も高く、それこそドイツの御三家とも戦えるレベルにある。金属加飾やメイプルウッドなどオーナメントのテクスチャーをもう少し整えればさらに高級感は増すだろう。後席居住性はこのクラスの平均値かと思わせるが、ともあれマツダの十八番である運転姿勢の素直さは右ハンドルのFR系モデルとして特筆に値する。

単にプレミアムだけではなく燃費性能的理想を狙って採用したという大排気量直6ディーゼルは、車格から期待するには少々ノイジーなところもあるが、回転フィールには4気筒とは確実に一線を画する上質さがある。レッドゾーンは少々大風呂敷の感もあるが、回しても無粋な頭打ちに落胆することもない。



モーターのトルクアシストは発進時よりも走行時に効かせている印象で、パーシャルなど低負荷時の使用回転域は1100rpm程度もザラだ。そこからの緩加速にも不満はないが、この辺りがMHEVなしのディーゼル・ユニットではどういう応答性になるかは興味深い。また、急激なキックダウン時などはやはりクラッチ式ATのリンケージのアラがショックとして伝わることもある。

さらに生煮え感が伝わってきたのは低中速時のフットワークの粗さだ。足まわりは直列エンジンを縦置きでフィックスできたがゆえにダブルウィッシュボーン&マルチリンクが奢られ、ピッチ&バウンド・コントロールにも新しい技術的概念を織り込むなど鳴り物入りだが、その効能は高負荷コーナリング時のSUVらしからぬ動きの確度の高さなど、限られた場面でしか感じられない。現状ではCX- 5のまとまりの良さには及んでいないというのが正直な印象だ。

マツダの一世一代の大勝負は欧州の施策に翻弄されている感もあるが、直近では世情の変化で再びディーゼルの環境性能に期待する声もあがっている。限られた試乗ではあるが、車格に見合わぬ低燃費の片鱗もみてとれた。それでも敢えて選んだ足まわりやトランスミッションの面倒な煮詰めなど、茨の道は続くだろう。が、幾度の危機を乗り越えてきた彼らなら、恐らくこのラージ商品群もモノにしてくれると信じたい。

文=渡辺敏史 写真=阿部昌也



■マツダCX-60 XDハイブリッド・プレミアム・スポーツ
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動+モーター
全長×全幅×全高 4780×1890×1685mm
ホイールベース 2870mm
トレッド(前/後) 1640/1645mm
車両重量 1940kg
エンジン形式 水冷直列6気筒DOHCターボ+モーター
排気量 3283cc
最高出力 254ps/3750rpm+16.3ps/900rpm
最大トルク 56.1kgm/1500-2400rpm+15.6kgm/200rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン+コイル
サスペンション(後) マルチリンク+コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 235/50R20
車両本体価格 552万7500円

(ENGINE2022年11月号)

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