2022.11.02

CARS

サクラとアリア、いま注目の日産の2台のEVに乗って語る座談会! ジャーナリストの渡辺敏史がいきなりの爆弾発言!? どうなるサクラ!!【前篇】

日産サクラGと同アリアB6に試乗。

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待望の軽自動車規格のEV、日産サクラがいよいよ日本の道路を走り出した。いまの日本車を語るのに、このクルマを外すわけにはいかない。一足先に発表されたアリアと共に、島下泰久と渡辺敏史の2人の自動車ジャーナリストと、エンジン編集部員のムラカミ、ウエダの4人が、見て、乗って、座談会で言い合った! 今回はその前篇をお送りする。

こんなに贅沢じゃなくてもいい


上田 ニッポンのEVのいま、をまさに象徴する日産サクラを、アリアと試乗しました。三菱アイミーブ以来の軽乗用車規格のEV、サクラは上位車種の“G”、アリアは大容量電池搭載車や4WDがまだデリバリーされておらず、2WDの“B6”。両者前1モーターの前輪駆動車です。



渡辺 いきなり結論めいたことを言ってしまうと、サクラはこんなに贅沢じゃなくても、と思いました。

上田 Gは約300万円。オプション込みで350万円を超えます。

島下 一応安価なSという法人向けの素のグレードもあって、それは233万3000円~です。

上田 条件にもよりますが、補助金があることを考えると、実質約200~250万円のクルマですね。

渡辺 日産はサクラを軽自動車の最上位車と位置付けたと言ってますが、気張りすぎたのか、わりと立派な感じになっている。でも本当にこのコンセプトが必要な地方の移動困難者のことを考えると、さらに簡素でいいからもっと安かったら、という見方もできて……。内容的にはかなりトゥーマッチな気がしますね。

サクラは純内燃エンジン車のデイズとプラットフォームを共用しているため、空調吹き出し口の位置やセンター・コンソールなど基本となる構造などは変わっていないが、メーター・ユニットやダッシュパネル、ステアリング・ホイール、ドア内張など見た目はすべて異なりサクラ専用となる。


上田 村上さんと僕は、サクラに乗るのは今回が初めてでしたね。

村上 以前アリアに乗った時も驚いたけど、サクラにはさらに驚かされた。「え? これ、本当に軽自動車なの?」って思ったよ。何しろ速い。出足がいいから、軽自動車でありがちな周りへの配慮が要らない。

島下 軽自動車だと、合流時とかに気兼ねしますよね。でも、サクラは無理なくいつでもすっと行ける。

渡辺 登り坂もめちゃくちゃ楽ですよ。軽自動車の感覚じゃない。

村上 普通の自転車から電動アシスト自転車に乗り換えたくらいの違いがある。渡辺さんの言う通り確かにトゥーマッチな感じもある。

島下 日産はサクラもアリアも、それなりにお金を払ってくれる人に売りたいんだと思います。日産は初代リーフでEVを幅広く販売しようとしたけど、なかなか上手くいかなかった。EVは従来の内燃エンジン車より静かで速いから、サクラやアリアはある種プレミアムなものにしようという方向性なんでしょうね。



村上 それでもアリアは539万円~という値付けだよね。トヨタやスバルのEVに比べ、デザインも走りも高級感があるよ。いっぽうサクラが300万円と聞くと確かに高いとは思うけど、これだけ見た目も走りも高級感を前面に出していると、納得できなくもない。

渡辺 日産は現行ノートくらいから質感の見せ方が上手になりました。

島下 間違えてアウディA3くらいお金を使っちゃったらしい(笑)。

村上 モダンですっきりしている。アリアもサクラもちゃんと同じテイストで仕上げられているよね。

渡辺 サクラは、例えば東京在住の輸入車オーナーの、セカンドカーとして耐えうる質感と乗り味を持っています。軽自動車も動力源が電気になると、これほど質感が変わるのか、っていう驚きも含め、いいとは思うんです。でも、そういう人が高い補助金をもらって買う現状は、少しおかしくないかな。本当に必要な人たちのニーズも掴んでこそ、真の覇者になれるのではないかと。

島下 渡辺さんの意見もよく分かるし、補助金については僕も半分くらいそう思いますが、でも、とにかく売れて台数が増えないと、もう1度充電施設を作ろうだとか、そういう機運にならないし、本当に欲しい層にトリクルダウンしないんじゃないかって、日産は考えたと思います。

村上 でもサクラに乗ると、今後そういう範囲までカバーできるようになるんじゃないか、いろんなことができるようになっていくんじゃないか、っていう将来性も感じさせてくれるよ。なにせ出来がいいから。

◆サクラはいったい何が新しいのか? 一方、アリアのデキはどうなのか? この座談の続きは後篇で!

話す人=島下泰久+渡辺敏史+村上 政(本誌)+上田純一郎(本誌、まとめも) 写真=望月浩彦

■日産アリアB6
駆動方式 前1モーターフロント輪駆動  
全長×全幅×全高 4595×1850×1665mm  
ホイールベース 2775mm  
トレッド(前/後) 1585/1590mm  
車両重量(前軸重量:後軸重量) 1960kg(1050kg:910kg)  
最高出力 218ps/5950-13000rpm  
最大トルク 300Nm/0-4392rpm  
バッテリー形式 リチウムイオン電池  
バッテリー容量 66kWh  
航続距離(WLTCモード) 470km  
サスペンション(前) マクファーソンストラット+コイル  
サスペンション(後) マルチリンク+コイル  
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/通気冷却式ディスク  
タイヤ(前後) 235/55R19  
車両本体価格(税込) 539万円  

■日産サクラG
駆動方式 前1モーターフロント輪駆動  
全長×全幅×全高 3395×1475×1655mm  
ホイールベース 2495mm  
トレッド(前/後) 1300/1295mm  
車両重量(前軸重量:後軸重量) 1090kg(590kg:500kg)  
最高出力 305ps/2800-8600rpm  
最大トルク 605Nm/0-4000rpm  
バッテリー形式 リチウムイオン電池  
バッテリー容量 20kWh  
航続距離(WLTCモード) 180km  
サスペンション(前) マクファーソンストラット+コイル  
サスペンション(後) トルクアーム式3リンク+コイル  
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ドラム  
タイヤ(前後) 165/55R15  
車両本体価格(税込) 294万300円  

(ENGINE2022年11月号)

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