2022.10.24

CARS

大きさを完全に忘れる! アウディeトロンに初めて設定された「S」モデルの走り味は?

アウディeトロンSスポーツバック

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ぐいぐい曲がる

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スタンダードのeトロン同様、ボディは2タイプあり、今回はスポーツバックに乗った。バッテリーの総電力量は95kWhで55クワトロと同じだが、モーターが1個増えた分、車両重量は2690kgと100kg上回っていて、発進の瞬間は重さを実感する。でもその後はほぼ1000Nmのトルクを生かし、力ずくで加速していく。

とはいえモーターなので大味というわけではなく、レスポンスは常にリニア、パドルで回生ブレーキの効き具合を細かく調節できることを含めて、スポーツドライビングに向いた設定だ。

Sを名乗るだけあって乗り心地はやや硬めだが、「コンフォート」モードを選べばラグジュアリータッチになる。一方「ダイナミック」モードでは、脚の動きが締まると同時に、スロットル・レスポンスがさらにクイックになる。

ルーフはスロープしているが、リアの頭上空間には余裕がある。

圧巻はやはりコーナリングだ。とりわけリアのトラクションが主役になる登りのコーナーでは、左右後輪を別々のモーターで駆動していることが手に取るようにわかる。ぐいぐい曲がるという表現がぴったりで、大きく重く背の高いボディを走らせていることを完全に忘れる。

でも大排気量ガソリン・エンジンを積むスポーツカーやラグジュアリー・セダンとは別の意味で、代償はある。WLTCモードでの満充電での航続距離は415kmで、総電力量では66kWhにすぎない日産アリアB6を下回る。アリアの約3分の2に留まる電費が足を引っ張っているのは確実だ。大柄な車体や上質な車内から想像すると、ロングランが楽そうに見えるが、実は逆なのである。

eトロンのような車格の電気自動車は、機能で語るより趣味で語るほうが理に適っているとあらためて感じたし、3モーターというエンジンでは不可能なパワートレインならではの走りのエンターテインメントを提供したSこそ、eトロンの理想形ではないかと思った。

文=森口将之 写真=郡 大二郎

(ENGINE2022年11月号)

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