2022.12.23

CARS

これがいま一番スタイリッシュなフェラーリ! 初のV6を積んだハイブリッド・スポーツ、296GTBに試乗!!

フェラーリ296GTB

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クラシックとモダンがバランス

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改めて対面した296GTBをまじまじと眺めて、フェラーリ内製のデザインを持つこのクルマは、近年のフェラーリ・ミドシップ・モデルの中でも飛び抜けてスタイリッシュな1台だと思った。全長とホイールベースの長さ、全高、全幅のバランスが素晴しくいいのに加えて、360モデナ以来長らくハッチバック・スタイルになっていたフェラーリのベルリネッタ・モデルに、久々にクラシックなトンネル・バック・スタイルを復活させたことが、逆にとても新鮮な輝きを放っているように感じられるのだ。サイドウインドウ後端の緩やかに切れ上がっていくラインの処理の仕方や、リア・フェンダーのマッチョな盛り上がり方も、どこかクラシックなフェラーリを連想させる。それでいて前後のライトの造形などは、すこぶるモダンな趣になっており、その組み合わせのバランスが絶妙で、何度見ても感心して見とれてしまう。

ドアを開ければ、これまた未来的なインパネのデザインを持ちながらも、しかし、全体としてはクラシックなフェラーリのテイストを連綿と受け継いでいることがしっかりと感じられるコクピットが現れる。

ほどよくタイトで思い切り低いドライバーズ・シートに着き、ステアリング上のスタート・スイッチをクリックしてシステムをオンにする。ヒューンという電子音とともに真っ黒だったメーターの中央に巨大な回転計が現れて、デフォルトのドライブ・モードはハイブリッド。右手でパドルを引いてギアを入れ、アクセレレーターをそっと踏み込めば、電気モーターの力だけで、スルスルと走り出してくれる。



完調ではなかった

六本木のど真ん中にある駐車場から外に出て幹線道路に入るまで、まったく無音で走れるというのは、想像していた以上に有難いことであると気づいた。これが早朝の住宅街だったら、なおさらだろう。

ところが、今回の試乗車には、ひとつだけ困った制約が付いていた。296GTBは、全充電時には約25km電気走行できるだけの容量を持つバッテリーを搭載しているが、それを減らしすぎると、前に起こった電気システムの不具合が再発する恐れがあるから、出来るだけ充電モードを使って走り、バッテリー容量をできれば残りの走行距離20km未満にはしないで欲しい。ましてや、完全に空にしては絶対にダメ、と言われては、もちろん電気モードで走り続けることはできない。いや、それだけではない。スポーツ・モードでも思い切り走ることはできない。なにしろ、峠道を全開にして走ろうものなら、見る見るうちにバッテリーの残量が減っていくことはセビリアで経験して良く知っていたからだ。

しかし、たとえバッテリーが空になったところで、このクルマには素晴しい吹け上がりを持ったそれだけで663馬力の最高出力と740Nmの最大トルクをもった2.9リッターV6ターボ・ユニットが搭載されているのだから、なんの痛痒もない、と言いたいところだが、そうもいかない。以前のトラブルでは、メイン・バッテリーが空になるとともにエンジンも停止して、そのままトランポが来るのを待っているしかない状態になったというのだから。

結局のところ、今回はお達しをできるだけ守って高速道路などでは充電モードで大人しく走り、そのかわり山道ではところどころ翼を広げて本来の乗り味を確認し、ちょっとだけ恍惚となった後には、再び充電モードに戻すという、すこぶる欲求不満な走り方をせざるを得なかった。それでも、セビリアで感じた印象の片鱗は感じとることができたことだけを報告して、次回、完調での試乗の機会を待つことにしたいと思う。

◆スペイン、セビリアで行われた国際試乗会のリポートはこちら!

システム出力は最大830馬力!! フェラーリ初のV6ミドシップにしてハイブリッドの296GTBにスペイン・セビリアで試乗!!

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文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬

これ見よがしなウイング類を付けることなく、さりげなく空力パーツを配しているところがデザイン上のエレガンスを生んでいる。


■フェラーリ296GTB
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン+電気モーター後輪駆動
全長×全幅×全高 4565×1958×1187mm
ホイールベース 2600mm
車両重量(車検証) 1660kg(前軸660kg:後軸1000kg)
エンジン形式 バンク角120度V6DOHCツインターボ
排気量 2992cc
最高出力 663ps/8000rpm
最大トルク 740Nm/6250rpm
システム最高出力 830ps/8000rpm(モーターは167ps)
トランスミッション デュアルクラッチ式8段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式カーボンセラミック・ディスク
タイヤ (前)245/35ZR20、(後)305/35ZR20
車両本体価格(税込) 3710万円

(ENGINE2022年12月号)

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