2022.12.07

LIFESTYLE

戦時下でもワインをつくり続けた人々 ドキュメンタリー映画『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』

『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』

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激しい内戦の最中でもワインづくりを諦めなかったレバノンの人々。ワインをめぐる驚きの物語を描いたドキュメンタリーが伝える平和へのメッセージ。

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生命の象徴としてのワイン

レバノンのワインと聞いてもピンとこない人は多いだろう。だがその起源は一説に7000年前とされる。ドキュメンタリー映画『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』が描くのは、1975年から15年間続いた内戦や、その後の軍事衝突の間も、揺るぎない信念を持ってワインを作り続けた人々の物語だ。

500人が虐殺された故郷の村で、村の再起のためにワイナリーを続ける夫婦。内戦により国内でのワイン販売が壊滅的となる中、国外での販売に奔走する経営者。爆撃の最中、自宅でゆっくりとワインを飲みながら、人生について考える名門シャトーの2代目。彼らの言葉から浮かび上がるのは、極限状態にあっても揺らぐことのない、ワインメーカーとしての矜持と逞しさだ。

本作で対比されるのは破壊しかもたらさない戦争と、生命の象徴としてのワイン。劇中に登場するひとりの神父の言葉が心に響く。

「たた酔っぱらうためにワインを飲むなら戦争で使えばいい。だが人生を楽しむために飲むなら、ワインは平和をもたらすものになる」  

どこか祈りにも似た作品だ。



■『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』
温暖な地中海性気候と、シャブリやロワールといったフランス・ワインの名産地と似た地質を持つレバノン。現在は国内の主なワイン産地であるベッカー高原などに40以上のワイナリーがあるそうだ。本作ではレバノンワインを支えてきた多くの関係者が登場するが、中でも注目したいのが”レバノンワインの父”と呼ばれたシャトー・ミュザールの2代目、セルジュ・ホシャール氏。内戦中も母国のワインを世界に売り込み、1984年の英デキャンタ誌でマン・オブ・ザ・イヤーを受賞している。惜しくも2014年に他界。95分。アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー中 配給:ユナイテッドピープル

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