走りはBMWそのものインテリアも同様である。豪奢というよりできるだけミニマルな雰囲気を狙ったようだが、実際には数え切れない機能装備が隠されている。エア・アウトレットは目立たないように配置され、物理スイッチもだいぶ減った。またステアリング・ホイール上の多数のスイッチは簡潔に統合されたが、それでもiドライブ・コントローラー(クリスタル製)がしっかり残されているのが嬉しい。とはいえ、各種機能がどの画面のどの階層に収められているのかはすぐには分からない。この無数の機能をフル活用するにはしっかりとコクピット・ドリルを受けなければならない。
12.3インチのインフォメーション・ディスプレイと14.9インチのコントロール・ディスプレイをつなげたカーブド・ディスプレイは今時それほど驚かないが、リア・シートの左右ドア・アームレスト部分に収められたスマホ状のコントロール・パネル、そして31インチ余りの巨大なシアター・スクリーンには度肝を抜かれた。そのほか多数のオプションを含め、とにかく贅を尽くした精緻な造りが特徴的で、短い試乗時間ではすべて試せないと端から諦めてしまうほどの豊富なラグジュアリー装備が盛りだくさんである。
日本向けi7にはエクセレンスとMスポーツというふたつの仕様があり、高性能をことさらに強調するよりも、今回試乗したラグジュアリー志向が見て取れるエクセレンスは静々と滑るように走る。BEVの中でもずば抜けて静粛で、スムーズな乗り心地である。もちろん“マイモード”と称するドライブ・モード(パワートレインやサスペンションだけでなく、シート調整や室内のアンビエント・ライトまで連動している)を“スポーツ”にしてアクセレレーターを床まで踏めば、車重はほぼ2.7トンにも及ぶこんな巨大な車が驚くほどのペースで速度を上げる。何しろ4WDのおかげもあって0-100km/h加速は4.7秒という駿足を備えているのだ。コントロール類は恐ろしくモダンだし、ラグジュアリーな仕立ては徹底しているものの、ドライバーの意図から少しもズレない操縦感覚はやはりBMWのものだ。余計なお世話だが、7シリーズがここまで来たら、次のロールス・ロイスはどうなってしまうのだろうか?文=高平高輝 写真=望月浩彦
■BMW i7 xドライブ60エクセレンス駆動方式 前後モーター4輪駆動全長×全幅×全高 5390×1950×1545mmホイールベース 3215mmトレッド(前/後) 1665/1650mm車両重量(車検証記載前後軸重) 2730kg(1320/1410kg)モーター形式 交流同期モーター×2モーター最高出力(前/後) 258ps/8000rpm/313ps/8000rpmモーター最大トルク(前/後) 365Nm/0-5000rpm/380Nm/0-6000rpm変速機 1段固定定格電圧/電池総電力量 376V/105.7kWh一充電走行距離(WLTC) 650kmサスペンション形式 前/後 ダブルウィッシュボーン式/マルチリンク式ブレーキ 前後 通気冷却式ディスクタイヤ 前/後 255/45R20 105Y/285/40R20 108Y車両価格(税込) 1670万円(ENGINE2023年2・3月号)
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